dream | ナノ
「小春〜!!」
「ユウく〜ん!!」
試合中にそうやってハグする小春ちゃんとユウジ。この2人は、きっとお互いのことを知り尽くしてる。そうじゃなきゃ、こんな息あわないだろうし、ハグもしない。…ユウジはきっと彼女のあたしより、小春ちゃんの方を信頼してる。
「ユイ、帰るで」
「うん」
「なんや、暗い顔して」
「別になんでもないよ?」
「そうか?」
「うん!!それより、今日も面白かった!!」
「おおきに!今日もな、小春の奴がな、」
ほら、すぐに小春ちゃんの話。ユウジはいっつも小春ちゃんの話ばっかり。もう誰かに聞いて知ってるのかもしれないけど、あたしのことは何も聞いてこない。だから、あたしもユウジに何も聞けてない。聞いたら、ダメなのかなって思っちゃうから。そんな感じであたしはユウジのこと全然知らない。結局ユウジの一番はあたしじゃなくて小春ちゃんなんだよね。そう、どうせユウジは小春ちゃんだもの。だからもしあたしがなにか聞いてもユウジは答えるだけで、きっとあたしに何かを聞いたりしないよ。付き合ってるのに、なんでこんなに悲しいんだろう……、でも分かるの。きっとあたしは、一生ユウジの一番になれない。
所詮踏み込めないよ