dream | ナノ



「精市く―ん」

「やぁ、また来たのかい?」

「来たら駄目?」

「フフ、そんなことないよ。逆に嬉しいよ」


毎日毎日、同じ時間帯に私は病院に行く。別に私が怪我してるわけじゃなくて、精市くんのお見舞いに。たまにテニス部の誰かと会うけど私くらいだと思う、毎日来てるのは。でも会いたいんだから仕方ないじゃない。看護師さんたちとはもう顔見知りというかそんな感じでたまに話したりする(数分だけだけど)。


「そういえば、マネージャー業はちゃんとやってる?」


その言葉に私は一瞬で固まる。そう、私は精市くんが倒れる前からマネージャーをやっている。どこのってそりゃテニス部。でも私が病院に居る時間は部活中。精市くんは私がちゃんとやっているのか心配なんだろう、無理もないけど。でも私は毎日同じ時間帯に此処に来て同じくらいの時間に学校に戻るからそんなに心配することじゃないと思うんだけどなぁ。赤也みたいにサボったりは全然しない。寝坊しちゃったならあるけど、サボったことはない。サボったりしたらそれこそ精市くんが悲しむんじゃないかなって思うし、部長がこうなってるのにマネージャーの私がそう休んで良いものではない。マネージャーが居ない、部長も居ない、それじゃあ皆が困るばかり。だから私は抜ける時間を決めて、その時間帯だけ仕事を少しだけレギュラーの皆にお願いしてる。だから戻ったあとは仕事三昧だったりするから精市くんと一緒に居る時間はとても貴重な時間。


「この前、真田が言っていたよ。見舞いに行くのは構わないが抜けた時間の分も働くからいつ休んでるのか分からない、って」

「ちゃんと休んでるよ、今とか」

「部活始まる前に休んでるのかい?」

「うん、精市くんに会ってエネルギー補充!」


そう言うと精市くんはきょとんとして、それから優しい笑顔を見せてくれた。心配してくれるのは嬉しいけど私は精市くんに会えればやっていけるから大丈夫だよ、って付け足したらありがとう、って頭を撫でてもらった。





でもやっぱり寂しいから早く戻ってきてくれないかな。







×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -