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「…ピアス、開けとったと?」


意外、とでも言いたそうな顔で千歳はあたしに言った。蔵や謙也は逆に千歳の発言に驚いたとでもいうような顔だった。ああ、千歳は知らないんだっけ。あたしは去年まで髪は茶色かったしスカートも今よりも短かったしなんていうかとりあえず校則違反の常習犯。オサムちゃんが3年で髪黒くしてスカートももう少し長くして大人しくマネージャーやったら良い生徒だって高校の先生に伝えておくって言ったからあたしは大人しくしてるわけなんだけど。今年から来た千歳だから知らなくても仕方ないか。


「こいつ去年まで校則違反の常習犯やねんで」

「え」

「髪なんて俺よりも茶色かったし財前より数は少ないけど目立つピアスしてたんや」

「スカートなんてえらい短かったしなぁ」

「…想像つかんたい」


ユイが?というような顔をして千歳はあたしを頭のてっぺんから足の爪先まで見た。まあ、あまり想像つかなくても良いと思う。ていうか光より目立つって言っても少し大きいくらいだし。ちょっと大袈裟に言いすぎじゃない?


「ピアスくらいつけても良さそうやけん」

「つけたいのは山々だけど光とかみたいにシンプルなの持ってないし」

「………」

「な、何?」


不意に千歳はあたしの耳に触れた。外のせいで若干冷えてて、思わず肩が跳ねる。でも千歳はそんなことを気にせず開けたところを探るように触るとふーん、と呟いた。っていうか顔近い…!


「ユイ」

「?」

「明日俺のピアスあげるけん」

「え、」

「俺のつけてほしか」

「、」


ね?ってあたしの目を見ていきなり優しく笑うからあたしの顔は赤くなって頷くしかできなかった。…あたしがその笑顔に弱いって知っててやってるのかな。





(…待って、それって千歳とペアってこと?)(おん)(そ、そしたらあたしとデキてるって噂されるかもしれないよ…?)(むしろそれで良か)(……、)(ユイが嫌ならしょんなか、諦めるばい)(や、やだ、あたしつける!)

(…あの2人ってなんやかんやカップルみたいやんな)(っちゅうか今、告白擬いなやり取りしとったよな)(逆になんで付き合うてへんのか不思議や)(確かに)







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