dream | ナノ



「はぁ」

「なにそのため息」

「やっぱ白石はモテるなぁ思て」

「…今更」

「せやんなぁ」


謙也ははぁと憂鬱そうにため息をつく。謙也は自分がモテないとでも思ってるんだろうか。まぁ確かに蔵に比べたら多少劣ってるのかもしれないけど(そのへん詳しくないから知らないけどさ)謙也だってモテる方じゃん。現に女の子たちからお菓子たくさん貰ってるし。去年より数が増えてるし。


「謙也だって貰ってるから良いじゃん、これ以上モテてどうすんの」

「せやかて、……」

「?」


何か言いたそうだけど言っていいのか分からないという表情を見せる謙也。なに?と聞けばまた小さくため息を吐いて、


「白石やったらすぐ彼女も出来るんやろなぁ、って」

「はぁ?」

「あ、女遊びとかそういう意味とちゃうで」

「恋が叶うのが早そうだっていうこと?」

「まぁ、そんな感じやな」


ってことは謙也は恋が叶うのは遅いってこと?それってへたれだからじゃないの?なんて思ってたらまたため息を吐く謙也。そんな吐いてたら幸せ逃げるって。


「ユイはチョコあげるん?」

「あげるつもりだけど…、驚かれそう」

「誰にあげるん」


謙也、なんてさらりと言えたらどれほど楽だろうか。多分謙也は鈍感だから気付いてないだろうけどあたしこれでも謙也のこと好きだからさ緊張するんだよね。しかもなんか謙也好きな子居る感じするんだよね。気のせいかもしれないけど…。でも蔵のこと羨ましそうに見てるし早く彼女出来そうとか言ってたし。


「ユイ?」

「知りたい?」

「え、」

「…あ、別に知りたいわけじゃないんだ」

「いや…、いやいや知りたいむっちゃ知りたい」


そういうわけじゃないと一回首を振って否定したと思ったら何を思ったのか首がもげそうなくらい勢い良く横にふりはじめた。ちょちょちょ怖い怖い怖い!今にもぽーんってぶっ飛びそうなんだけど!


「お、教えるからもう良いから首振らないで首もげそう!」

「、おん」

「ほ、ほら!髪だってぼさぼさになったじゃん阿呆!」

「っ、」


首を振るのを止めた謙也の頭はぐちゃぐちゃで(まぁ無駄に速かったから仕方ないけど)手で悪いけど直してあげようと思って手を伸ばしたら謙也はびくっと反応して後退った。


「謙也?」

「え、あ…、」

「ちょっ、け、謙也?!」


どうしたのと見れば謙也は顔を赤くして自慢の足で走っていってしまった。…はてさて一体謙也はどうしたんだろうか。


鈍感年と鈍少女


(あ…、チョコ渡しそびれた)
(あかん思わず逃げてしもた)

(っていうか)

((好きな人聞き逃した))







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