dream | ナノ



「ひーかーるっ」

「、」


3連休、オサムちゃんは何を考えたのか休みにしよった。おかげで俺は兄貴と義姉さんに甥を頼まれ(押しつけられ)て、昨日は俺の好きなアーティストのアルバム発売日やったのに買いに行けへんかった。初回限定売り切れてたらどないすんねん。昨日はおかんもおかんで近所の誰々さんとお茶会とか言うておかんに頼むことも出来ひんかった。兄貴らは一昨日から旅行に行っとって今日の夕方帰って来るらしい。言うとくけど今日、7月20日は俺の誕生日やねんぞ。これでお土産あらへんねんとか言われたらしばいたる。おかんも夕飯が普通やったらしばいたる。そんなことを考えとったら校門前で先輩に会った。先輩は俺の誕生日を祝ってくれるんやろか。…ああでも3連休あったから忘れてそうや。いや、でも俺って先輩の彼氏やんな。普通彼氏の誕生日忘れへんよな。忘れとったら全部すっぽかしてお仕置きしたる。


「おはよ」

「…ッス」

「子守りは終わったー?」

「兄貴ら今日帰ってくるんで」

「良かったじゃん!お疲れさま!」

「ども」


…もしかして、忘れとるん?んなわけあらへんよな。


「あ、光」

「はい」


返事をするとちっこい紙袋を渡された。先輩はにこにこと楽しそうに、嬉しそうに笑っている。


「なんすかこれ」


先輩はただ開けてみてと言う。言われた通りに紙袋から綺麗に包装された四角い形をしたそれの包装を開けてみればそこには俺が売り切れてないか危惧しとったアルバムがあった。しかも初回限定と通常と2枚。


「きっと子守りで買えなかっただろうなって思って」

「………」

「これ、最後の1枚だったんだよー」


あかん、先輩めっちゃ俺のこと分かってくれとるやんか。しかも最後の1枚やったとか、めっちゃ嬉しいんやけど。ほんまに先輩好きや。忘れてそうとか言って申し訳あらへんわ、あれ撤回せなな。


「あとね」


せやけどそれだけで終わらんみたいで、先輩は後ろに持っていたらしい大きめの紙袋を俺に渡した。


「なんすか、これ」

「あたしの手作りケーキ!」

「、」

「光のために愛情込めて作ったんだ」

「…先輩」

「うん?」

「めっちゃ嬉しいっすわ」


そう言うと先輩はその笑顔が見たかったんだ、なんて照れながら言った。


せを綻ばせて


(あ、言うの遅くなったけど、誕生日おめでとう)(どーも)(幸せな1日になると良いね)(もう充分幸せっすわ)







×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -