dream | ナノ
「あー」
「うー」
さっきから先輩はそんな声ばっかり出している。机に突っ伏しながら。
「…一体なんなんすか、」
今は昼休みで、いつもなら先輩がハイテンションで俺の教室に入ってきてそれで一緒に屋上に行ってご飯食べるのに今日は10分経っても来ないからどうしたのかなと思って仁王先輩たちも居るこの教室に来て冒頭に至る。俺が仁王先輩に聞くと仁王先輩も丸井先輩もにやにやと笑った。え、なにこの人たち。
「こいつな、この間の「言うな豚」
言おうとした丸井先輩に向かって、唸っていた先輩がいつもより低いトーンで冷たく言い放った。思わず俺と仁王先輩もびくっとする。丸井先輩はショック過ぎて声も出ないらしい。
「これは言わないほうが身のためじゃな」
「へ、」
「そういうことじゃき、またな赤也」
「え、ちょっ、」
俺が引き止める暇もなく仁王先輩は片手に丸井先輩を引きずりながらひらひらと手を振った。仁王先輩は俺に自分で聞けって言うのか。恐ぇって。
「…先輩」
控えめに声をかける。けど勿論答えはない。先輩はぴく、と反応したけど何も言わない。さっきまであんなに唸ってたのに。
「なんか、あったんすか」
「………」
「よければ、聞くっすよ」
「………」
「先輩?」
「………」
ふぅ、と思わずため息を吐いた。つか俺、先輩とご飯食べにきたのにこれじゃご飯も食べれないじゃん。でもなんか聞いてからじゃなきゃ気が済まない。
「……い」
「へ?」
やっと口を開いた先輩。でもなかなか聞こえなくて聞き返すと
「絶対、赤也には言わない」
ってなんだよそれ。俺、これでも先輩の彼氏なんだけど。ちょっとむっとなった俺は先輩に、言った。
「先輩、」
「?」
秘密なんてダメだよ
(俺も男だし、彼女に頼られたい)
(………)(先輩、)(…笑わない?)(もちろんっす!)(あたしね、赤也に教えてあげたくて英語頑張ってたの)(え、まじ)(うん、でもこの間のテスト散々で…)(じゃあ、一緒に勉強すればいいじゃないすか!)(え、)(英語以外も教えてほしいんすよ俺!)(ほんと?)(はい!)(じゃあ今度勉強会しようね!)