dream | ナノ



「ふぇっくしゅん」

「鼻水出とる」

「うー…、ティッシュ取ってー」

「ん」

「ありがと…」


ずびっ、と鼻が鳴る。いつも通り学校生活を送ってたはずが何処からもらったのか風邪にやられてしまった。おかげで明日自習多いんだやったー!という昨日の喜びも台無しである。更に言うと光がわざわざ学校を休んでまであたしの看病をしてくれている。どういう経緯でこうなったかというと、朝起きたら既にお母さんが仕事に行ってて(お父さんは出張中)、でもまだ学校に先生居るか分からなかったからとりあえず光に電話したんだけど、それが起因なわけで。


『ひかるー…』

『誰やお前』

『いやいや、ユイだよー』

『風邪引いたん?馬鹿のくせに』

『馬鹿言うなー』

『怒っても迫力無いわ』

『……熱出た』

『は?』

『だから今日、学校休むね』

『…親は』

『起きたら仕事行ってた』

『っちゅうことは今日1日一人なん?』

『たぶん…』

『…今からそっち行くさかい鍵開けとけ』


と言われよく分からないまま鍵を開けてそれからベッドでうずくまってると光が来た。何故かスーパーの袋を持って。そして今日は俺も休むとか言い始めた。


『え、なんで』

『…1日看病してあげなさい言われた』

『……もしやと思うけどその袋』

『薬と粥の材料、らしいわ。家出る時に持たされた』

『ま、まじですか…』


とまぁ光のご家族にも心配されてしまい、でも断る理由も特に無い(というより多分言っても無駄だと思った)から大人しく光に看病してもらうことに。そして冒頭に戻る。今は光が作ってくれたお粥を食べて(あたしが猫舌なの知ってるくせに熱いまま出したから怒ったらわざとだって笑われた。病人相手でもSになるなんて…!)、薬を飲んでうとうとしつつ光とまったりお話。


「ねー、本当に休んで良かったの?」

「は?」

「今思い出したけど、大会近いって言ってたし…」

「それより寝たらどうなん」

「答えてよー」

「………」


光は少しあきれた顔をする。


「放っといたら何も食べないやろお前」

「………、」

「…早よ元気になれや」

「…うん」

「……おやすみ」

「おやすみ…」


ぽんぽん、と口は少し悪い割に光が優しく頭を撫でてくれて、あたしはそのまま眠りについた。光のためにも、早く風邪治そう。





((インフルエンザとかで会えへんとかなったらほんま冗談やないし、っちゅうか大会なんやユイの風邪に比べたらどうでもええし))((…なんて言えへんけど))((っちゅうか材料持たされたの真に受けたんやろかこいつ))







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