■その他(他CP・複数等)■

失いたくない何か@


とても、懐かしい、落ち着く匂い。
初めて訪れる土地にここまで親近感が湧くとは考えておらず、少しばかり頬が緩む。

揺れる足元を気にせず体の向きを変えた。
視界を遮る装具を持ち上げ、空を仰ぐ。
見上げたそこは、浮かれた街の明かりで白く濁っていた。


まるで悪魔が巣食っているかのような空だな・・・

ざわりと胸の奥が撫でられるような感覚に、きゅ、と口を結ぶ。
緩んでいた頬を引き締め、空を睨んだ。

ふと何かが目の前に舞い降り、無意識に手の平を出す。

ハラリと着地した白いソレは、手の平に触れた途端に、姿を消した。

その様はまるで何の悔いも未練も無いかのようで。
おれの心をひどく揺らした。


「セイリュウ様」

「なんだ」

後ろに控えていた部下が遠慮がちに声を上げる。

「明日は直帰されるということでよろしいですか」

「ふむ・・・」


頭をよぎる、数日間の出来事。


「どうせ明日あさっては休暇を取っているからな」

「では・・・」

「せっかくだ。先祖が潰した村の名残を楽しもうじゃないか」

そう笑うと、片側の口角がきゅっとあがるのを感じた。
皮肉っぽく口角をあげてしまうのは、昔からの癖。

「わかりました。それでは支部に連絡を入れておきます」
「あぁ」

頼む、と言おうとして、急な変化に気が付く。

「ん・・・?」

いつの間にかあたりは暗く、祭囃子も鳴り止んでいた。
そうか、と心の中で呟く。

「終わったか」

祝祭の最終日。
はるか昔、村を潰した玉兎(ユゥトゥ)が。
時を経て、今度はこの街を救った。

部下はここ数日の悪魔に関することを何も覚えておらず、日本支部の祓魔師たちも同様の反応を示した。

「覚えているのはおれだけ、か・・・」

それはもしかしたらおれが劉家の末裔だからなのかもしれない。
ほかにこのことを覚えている者がいたとすれば、それはきっとあの子供だろう。

「奥村燐・・・」

「セイリュウ様」

「あぁ」

ガコ、と音を立てながらソレが岸につながれるのを見届け、ヒラリと地上に移る。
自分が今まで足をつけていたものに向き直ると、その全体を見渡す。

日本支部からの借り物。
本来はエンジンを搭載したものもあったのだが、あえて手漕ぎのボートを借用した。

こういったものは情緒が大切なんだ。

「本日はアルコールでもいただきませんか?」

今まで寡黙に舟を漕いでいた体格の良い部下が口を開いた。

「ん?おれは、酒はあまり・・・」

「たまにはいいじゃないですか?」

先ほどから語りかけてきている眠そうな眼をした部下も柔らかく笑う。

「ふむ・・・」

実を言うと、酒は・・・苦手だ。
しかし、せっかく異国の地に来たのだから、部下の言い分も、わからなくはない。

信頼のおける二人からのせっかくの提案をないがしろにするのも少し気が引けた。

「まぁ、一杯だけなら平気だろ」

結局、二人の誘いに乗り、宿に一度戻ってから酒場へ行くこととした。


「そうと決まれば、お前たち、早く行くぞ」

二人を追い抜かすとおれは目元を和らげる。


たまには、ストレスを発散させてやらんとな。


そんなおれを見る二人のまなざしが、妙に熱っぽかったことなど微塵も気づかなかった。



*******



「うるさいぃ・・・!おれをダレだと思ってるんだあぁっ・・・ヒック・・・劉家のまつえいだぞっック・・・!」

「セイリュウ様、ちょっと飲みすぎです」

うるさい

「もうそろそろお部屋へ戻りましょう?」

うるさいうるさい

「立てますか?」

おれをバカにするな・・・

おれは誰にも屈しない・・・

心の弱い人間なんかじゃないっ・・・

「おれを、ヒック、バカにして、るのかぁ・・・?」

あれ・・・なんだ・・・?

視界が歪む。

困った顔の部下がどんどん歪んでいって。

あ、やめろ・・・


代わりに現れる悪魔の顔。


やめてくれ・・・

悲しそうに歪むその顔。


もう、これ以上大切な友を


失いたくない・・・



「ふ・・・」

頬に生暖かい感触が広がるのを感じたが、そんなのはおかまいなしに、悪魔へ変貌していく部下の服を掴む。

「も、いやだ・・・っ」

触れたところがビクリと跳ねるのを感じ、見上げると、悪魔の顔は、部下から消えた。

「せ、リュウさ・・・」

戸惑った声でハッと我に返る。

「ぁ・・・」

覚醒した目で見つめると、部下の顔は今まで見たことの無い色に染まっていた。


やってしまった。

完全なる、失態。

30にもなって人前で涙を流すなど。



「・・・せん」


「ぇ?」


部下が何かを呟いたが、聞き取れず、聞き直そうとしたとき。


「行きますよ」

もう一人の部下に抱えられる。

「お、いっ!?ちょ、おろせっ」

「・・・」


二人は声も発することなく、店を出る。
既に会計は済んでいたのだろうか、店の店主も困ったように笑いながら「まいど!」と奇妙な三人組を送り出した。



*******






ボスッ

「っ」

ベッドへ放り投げられ、衝撃に呻き声を上げる。


先ほどの出来事で幻滅されたのだろうか。
だが、それにしてもこんな不当な扱いを受けるほどのことはしてないように思う。

「お、前たちっ___」

「セイリュウ様が悪いんですよ」

ズキン・・・

その言葉に、目を見開く。
頭をよぎるのは、悪魔の顔。

「な、んのこと・・・」

2人の部下は羽織っていた赤い上着を脱ぎ捨て、ベッドへあがってきた。

「ぇ・・・」

そして次の瞬間、体格のいい部下に後ろから羽交い絞めにされ、身動きもとれないまま、ガチャリとベルトを外されてしまう。

「な、にをっ」

「ぼくら、ずっと我慢してたのに」

熱を孕んだ瞳がおれを捉える。

「我慢・・・っ?!」

振りほどこうと四肢に力を入れてみるが、身体中を巡ってるアルコールがおれのいうことを聞いてくれない。


くそっ・・・どういう、ことだ・・・っ


何故自分が部下に組み敷かれているのか。

どうして、部下の目がこんなにも獰猛な色に染まっているのか。

思考が、追いつかない。

アルコールに飲まれているということもあるが、それ以上に信頼のおける彼らが上司である自分に牙を向けている事実に、衝撃を受けていた。


「暴れられると手に負えないので、縛っちゃいますね」
「へっ・・・」

平然とそう言い放った部下はおれの手を背中にまわし、懐から出した太いロープでおれの腕を縛る。

「お、まえら・・・」



「ぼくら、セイリュウ様が大好きなんです」

ビリッと布の裂ける音が響く。

「ぁっ・・・」

ひんやりとした空気に晒された肌がピクリと震える。


「おいっ何をっ・・・や、めろっぉ!!」

「いつも・・・」

おれの声などまるで聞いていない部下がボソリと口を開いた。

「いつも、思ってたんです。厳重に覆い隠されたこの服の下の肌はどんな色なのかって」

そして、ニタァ、と笑う。

「思ったとおり、すっごくキレイですよ、セイリュウ様・・・」

艶を含んだその声に、悪寒が走る。

「お前らっ何をする気だ・・・っ!!」

衝撃が恐怖に変わっていく感覚に、身体が震える。

「わからないんですか?じゃあわからせてあげますね」


そういうと、部下は破った個所から手を差し込む。

「ひっ・・・や、めろっ・・・!」

冷たい細い手がおれの腹部を堪能するようにまさぐり、徐々に上へと移動してくる。
冷たさに筋肉が強張ってゆく。


「やめるわけないでしょう」

耳元で囁く声にビクリと跳ねる。

「恐いですか・・・?」

息が耳にかかり、顔を背ける。

「耳、弱いんですよね、あなた」
「なっ・・・・・・ぁっ・・・!」

ベロリ、と耳に舌を差し込まれ、思わず声が漏れる。

「今の声、すごくいい」

そういうと、また耳に舌を出し入れされる。

「あ、あ、っ・・・やだっぁっ耳っ・・・んぅっ!」

ビクビクビクと肩が跳ね、湿った音が耳の中を直接蹂躙する。

「こっちはどうかな?」

「ぇっ」

いつの間にか裂け目は更に大きくなっていて。
日焼けしていないとても弱そうな上半身が全て露にされていた。

「キレイなピンク。おいしそう」

そういって、部下はおれの胸へと顔を近づけ、寒さに形を作っていた突起を口に含んだ。

ジュジュジュッと卑猥な音を立てながら胸を吸われ、羞恥に声が上ずる。


「あっなにっ、んっやっ・・・ぁっ!!!」


な、んだ、これ・・・

耳と胸を同時に濡らされ、思考が鈍くなる。

「なんですか、まんざらでもないじゃないですか、セイリュウ様?」

「ひぁっ・・・そ、な・・・わけっ」
びくびくと身体が震えるのを堪えきれず、下唇を噛む。

「へぇ。じゃあなんでこんなに形できてるんですか?」

そういうと、部下はいやらしい視線を下腹部へ落とす。

釣られて視線を落とすと、衝撃に目を見開く。

自身が形を作り、起立したがっているのが、タイツの上からでもわかった。

「な、んで」
「あなたがど変態だからでしょう?」

クスクスと笑う。

「普段はあんなに冷たいお方なのに、凄いですね。幻滅しちゃいます」
「男二人に無理やり耳と乳首をしゃぶられてそんな風にちんぽ勃たせるとは」
「やめろっ」
「本当は嬉しいんでしょう?こんなに、硬くして・・・」
「うるさいっ!!嬉しくなっ・・・ぁっ・・・」

突然下腹部を襲う快感に息が詰まる。

タイツの上を、細長い指がツー、と伝い、おれは小刻みに震える。

「あ・・・ぁっ・・・」

アルコールのせいだ。

こんなことをされて、気持ちよさに身体が言うことをきかないなんて。

悔しさに、視界が歪んでくる。

キッと睨むと、視線に気が付いた部下が目を細めた。

「なんですか、そんなに気持ちイイんですか?」
「なっ・・・」

かぁっと顔が熱くなるのを感じ、ぎゅっと目を閉じる。

認めたくない事実に、熱い雫がこぼれる。

「フフ、可愛い人ですね・・・コレくらいで涙を流すなんて。プライドがお高い」

「もう、やめ、ろ・・・ぉっ」

「だめですよ、ここでやめちゃったら、ぼくらきっとあなたの側にいられなくなっちゃう」

「だから、そろそろ・・・いいですよね」

「ぇ・・・」

そういうと部下はなれた手つきでおれのタイツを掴むと、そのままずるりと降ろした。
「やめっ・・・」

「はい、黙りましょうね」

おれを押さえつける部下が開いた口に破いた服の裾を詰め込む。

「んぅぅ・・・っ!!」

舌で押し出そうと試みるが相当奥まで詰め込まれたのだろう、舌さえ動かず、息が苦しくなる。

「あんまり騒ぐとほら、お隣様に迷惑でしょう?」

誰のせいだとキッと睨みつける。

「そんなに痛くしてほしいんですか?」

先ほどまでウットリと笑っていた部下が、スッと目を細めた。

なおも抵抗しようとするおれに部下が口の端を曲げ、笑う。

「大人しくしてください」

そういうと、徐に露になった俺の自身を掴むとぎゅうっと握り締めた。

「ふぅんっ・・・ぐっ・・・!!」

乱暴に握られ、痛みに腰が跳ねる。

「あれ、おかしいな・・・痛くしてるのに。なんで硬くしてるんですか。ど変態ですね」

「?!」

そんなわけがないと反論したくとも、口は塞がれ、陰部を握り締められ、痛みで身体が言うことを聞かず。
ただ痛みを訴える腰を揺らすことしか出来ない。

「いやらしい。腰まで振って。誘ってるんですか」

「ふっ・・・ぐ・・・ぅっ!!」

違う、と頭を振るが、おれの思いは部下には届かない。

パッと手を放され、開放された喜びに自身が震える。

「本当に、感じやすいんですね。こんなにトロトロに液をこぼして」

「ふっ・・・!」

目を見開く。
異常な事態に、痛覚などなくなったか。
自身は起立し、ヒクリと震えながらヌラヌラとだらしなく液を垂らしていた。

「セイリュウ様って、童貞、ですよね?」

そのことばに、肩が跳ねる。

何故、そのことを・・・

「ずっとお側にいたんです、それくらいわかりますよ」

クスリと部下が笑う。

「良かった。セイリュウ様、童貞のまま処女を失うなんて、滅多にない経験ですからね。たっぷり、思い出に残るようにして差し上げます」

「っ・・・!?」

部下はおれの竿を流れる蜜を指で掬う。

いきなり後ろの部下に膝の裏を抱かれ、秘所が全て明るみに晒された。

「ふぅっ!!!んんっ!!!」

「暴れると、傷ついちゃいますよ」

だんだんと息の荒くなってきた部下はおれの腰に手を添えると、先ほど濡らした指を窄まりに潜り込ませる。

「ぐっ・・・ぅっ!!?」

分け入ってくる指に吐き気を催し、身体が強張る。


「うわぁ・・・すっごい締まりますね。でもこれじゃあぼくの入らないから、力抜いてくださいよ、ほら」

ミチミチと湿り気のある音を出しながら、細長い指が押し入ってきた。

「ふっ・・・ぅっ・・っ!!?」


ぐるりと指を回された瞬間、腰から電流が走ったような感覚が広がる。

今までとは違う直接的な快感にヒクリと喉を反らし、目を見開いた。

「ここ、ですね」

ニヤッと笑った部下は乾いた唇を舐めながらその部分を指の腹でグリグリと押しつぶす。

「んんっ!!ん・・・・ぅぐっ・・・ううううっ!!!

無理やり何かを押し出そう腰から伝わる甘い衝撃に、ガクガクと全身が震えた。
訳もわからずあふれた涙が行き先を失い、頬を流れ落ちる。

いやだっ・・・っ

いやだいやだいやだっ・・・

そう伝えたくて、必死に頭を振るが、部下は狂気じみた眼差しでおれを凝視する。

「ヒヒ、そんなに震えてしまうほど気持ちいいんですか?ねぇ?」

ぐりっと指を増やされ、倍になった圧迫感がおれの呼吸を止めようとする。

「ねぇ、ほら、コレが・・・いいんでしょ・・・っ?」

「んっっ・・・んぅっ・・・っ!!!!」


ぐぐぐっと先ほどから執拗に捏ねていた箇所を2本の指で思い切りえぐられる。

強制的な快楽に、目の前がチカチカと光り、堪えきれない何かが痺れた腰から内腿を痙攣させた。



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