dear partner 15




朝食も、夕食と同じ席順。そして僕の両隣の人も、相変わらず相手のことが気に入らないようだった。
ちなみに、朝食のメニューはご飯に豆腐の味噌汁、冷奴に豆腐のサラダ、焼き魚、おから入りの卵焼きと、久々知先輩の好物が並ぶ。
もちろん作ったのは久々知先輩なわけでそれも当たり前なのだけど、それさえも精ちゃんは気に入らないようだ。

「こんな豆腐ばかりで飽きてくるな…」

「文句があるなら食べなければいいのだ」

「食べなきゃ練習に差し支えるでしょ?それも考えてメニューを作るのがマネージャーとしての仕事じゃないのかな?」

「ちゃんと栄養は取れているし、問題はない」

「栄養の問題じゃないと思うけどね。僕は楽しくとってこそ食事だと思ってるし」

「楽しくないと思ってるのはお前だけだろ」

いや、多分僕たちの周りの人もまったく楽しくないと思います。
そんなことは口にできず、僕も周りの先輩たちももくもくと箸を進める。

結局、朝食が終わるまで、二人の応酬は続いたのだった。
跡部先輩や弦ちゃんは慣れてきたのか、我関せずで朝食を食べきったのだから人間の慣れってすごいと思う。

さすがは久々知先輩や精ちゃんとずっと付き合ってきただけはあるな、と思ったけど、これも心の中で呟くだけにしておいた。





「久々知先輩、あまり精ちゃんにかまってあげないで下さい…。まだ中学生なんですから先輩が大人になりましょうよ?」

部員から集めたドリンクボトルにスポーツドリンクを補充品がら僕は久々知先輩に注意した。
僕としては、気の済むまで二人で話していればいいと思うけど、部員たちはそうはいかないらしい。

丸井先輩と切原君に、休憩の際に僕は泣きつかれた。
曰く、精ちゃんの機嫌をどうにか直してほしい、と。

突き詰めれば精ちゃんの不機嫌の原因は僕にあるのだが、だからといって僕に精ちゃんの機嫌は直せない。
少なくともここに久々知先輩がいる限り、僕は伊鈴ではなく“二郭伊助”にどうしても引っ張られてしまうからだ。
精ちゃんはそんな見たことのない“大切な幼馴染”を受け入れられない。

だから、その原因になっている久々知先輩につっかかるのだ。


「というわけなので、久々知先輩はあまり精ちゃんに近づかないほうがいいと思います。
僕も久々知先輩がいなければ、いつもの伊鈴でいられると思うので」

「…よくわからないのだ。伊助は、伊鈴とは違うのか?
俺は今も昔も名前は変わろうと“久々知兵助”の本質は変わってないと思ってるんだが…」

「う〜ん…そうですね…。今と昔の違いは多々ありますが、一番の違いは僕は性別だと思ってるんです。
僕はこの時代に馴染む為に、一人称から変えてるので、やっぱり僕の中で“伊鈴”はどこか作られた存在のような気がするんですよ…」


曖昧な僕の説明に、納得していないような顔をしながらも久々知先輩は頷いてくれた。
マネージャー業の間は仕方ないにしても、これでご飯時の口論のような会話はなくなるだろう。

精ちゃんにとって大切な“伊鈴”が帰ってくるのだから。



そう安心して、今日のマネージャー業務を久々知先輩と終わらせた。

まさか、その日の夜に僕にとっての事件がまっていようとは思いもせずに。







 
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い、一ヶ月以上ぶり…;;;








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