dear partner 12
結局、僕は久々知先輩の後を付いて回っていたようなものだった。
明日こそは、久々知先輩のように仕事をこなせる様にしようと気合を入れなおして。
僕はマネージャーの本日最後の仕事である、夕食を作っていた。
「なあ、伊助。麻婆カレーって美味しいと思わないか?」
「…そんな某物語ゲームの中に出てくるような料理を、合宿で出すのは…
それに、もう今日はカレーの具しか用意してませんし…」
「大丈夫なのだ!!俺はいつどんなときでもこいつを持ってきている!」
そういって、久々知先輩が取り出したのはやはり白いヤツだった。
というか、今までどこに隠し持っていたのか…服の中に入れておいたにしては、渡された豆腐はしっかりと冷蔵されていたようだった。
久々知先輩クオリティ…!
「…でも、カレーに豆腐をそのまま入れても麻婆カレーにはならないですけど」
「豆腐(コイツ)はなんでも合うからそのまま入れても大丈夫!!」
そういうことを言ってるんじゃないです…
夕飯は、久々知先輩を何とか説き伏せて普通のカレーとなった。
久々知先輩は、とてつもなく残念そうだったけど…火薬委員みたいに皆が皆久々知先輩のこのお豆腐地獄に慣れているわけではない。
…跡部先輩くらいなら、慣れていそうだけれど。
「なんや、普通のカレーみたいやな、岳人」
「豆腐三昧かとびくびくしてたの無駄だったな〜」
訂正、氷帝の皆さんは慣れていたようだ。
わいわいがやがやと仲のいい者で集まって(氷帝、立海入り乱れて)食事する中、僕の食事する机ではブリザードがふいていた。
「あの…久々知先輩、精ちゃん…?私を挟んで睨み合うのはやめてもらってもいいですか?」
「べつににらみ合ってなんかいないのだ」
「そうだよ、なにいってるの?伊鈴ちゃん?僕たち笑って食事してるじゃないか。
ね、真田」
「うむ、そうだな」
弦ちゃんは、鈍いから分かってないんだ!
僕の隣の人たちは、顔こそ笑っているけど…瞳が、全く笑っていない!
久々知先輩の前(弦ちゃんの隣)に座っている跡部先輩なんて、完璧に見てみぬフリだ。
「さ、伊助、この冷奴も食べろ」
「ちょっと、伊鈴ちゃんはあなたと違ってちゃんとオンナノコなんだから、そんな規格外の豆腐なんて食べれるわけないでしょ?」
「別に全部食べろなんていっていないだろ」
本当に、本当にいい加減にしてほしい…
この二人の笑顔の攻防は、夕食が終わるまで続いたのだった。
*
*
*
――大阪――
「白石〜練習の後にたこ焼き食べにいこや!」
「金ちゃん、昨日も一昨日もたこ焼きやったやろ?今日は他のもんにしよな」
四天宝寺中学テニス部室。
いつもと変わらず、そこは賑やかだった。
「え〜ええやん!わいたこ焼きがええ!な、な!」
「今日は浪速のスピードスター(笑)が帰りのおやつ決めるばんやで?
昨日の銀さんみたいに思い通りになると思たら大間違いや」
「ちょ、白石!スピードスターの後にいらんもんついてへんかった!?」
「謙也、お前の気のせいや…」
「その顔絶対気のせいちゃうやん!」
「な〜謙也〜!たこ焼き!帰りのおやつは絶対たこ焼きや!」
そういって甘える金太郎に、謙也は少し考える素振りをしてから呆れたように首肯した。
「しゃーない!今回は金ちゃんの言うとおりたこ焼きにしたるわ」
「…!」
「なんや、結局謙也も金ちゃんには甘いなぁ」
「白石に言われたないわ!」
「ありがとう!わいな、ちょっと遠いけどな、天神さんのねきに美味しい店見つけたんや!」
「ほんならはよコートなおして行こか!」
そういって、白石は片付けるように部員に号令をかけた。
部員たちが片付ける中、白石は金太郎と同じクラスである部員にも声をかけた。
「そや、お前も行くやろ?」
「…はぁ、ではご一緒します」
「なんや、いつまでたっても他人行儀なやっちゃな!俺らは仲間になったんやから、もっと心を開いてどんとぶつかって来んかい!」
「それより早く片付けてしまいましょう、部長」
つっこみもなくスルーされた白石は、一人寂しくつぶやくのだった。
「いつも冷静やな、庄左ヱ門…」
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久々…すぎて…;;すみません…
ところでテニプリの大阪弁ってどこまでこてこてにすればいいんです…?