*捧げ物【文】* | ナノ



週末のシンデレラ


設楽先輩に連れられるままに、やって来たパーティー会場。

率直な感想は―「本当にこんな映画みたいなダンスパーティー、やってるんだ……」―

貸衣装とは言え、ドレスを来て会場の真ん中でみんなに見られながら踊ってる現実は、ひどく奇妙なものだった。


末のンデレラ


先程から、足が痛い。
慣れないハイヒールでこれまた慣れないダンスを踊った結果、足が悲鳴を上げているのだろう。

ハイヒールの中で足の指を曲げ伸ばししたり、足を動かしたりしてるけど、一向に痛みはなくならず、むしろ、さっきより痛くなってきた。

「設楽先輩、どこいったんだろう。靴、脱ぎたいな……」

先程、席を立ったまま戻らない設楽先輩は戻ってこない。
仕方なく、飲み物をトレイに乗せて、会場内を回っていたボーイらしき男性に化粧室の場所を訊き、私はこっそりと広間から退室した。

* * *

―廊下に出て、右手奥……ここかな?―

教えられた道順に従い、該当した扉をそっ……と開けてみたら、テレビで見たことのある、楽屋のような部屋が目の前に広がった。

壁にはライトがついた大きな鏡。
その下には鏡面仕様の白くて長いメイク机があり、机の下のスペースには椅子が収納されていた。
床には柔らかい絨毯が敷かれており、痛みに耐え兼ねてハイヒールを脱いだ足に気持ち良い。

―ガチャっ―

「!?」

背後から聞こえた音に慌てて振り向く……

「いた。こんな所でなにしてるんだよ?」
「先輩……!!」
「勝手にいなくなるな」
「すいません……」

不機嫌そうな設楽先輩の視線が私の足元に向かう。

「……なるほどな。ちょっと待ってろ」

私の返事も聞かず、部屋を出ていこうとする先輩は……

「いいか、ここにいろよ? 今度、行方不明になったら置いていくからな」

……そう悪態をついて扉の向こうに消えていった。

* * *

鏡の上に付けられた壁掛け時計を確認していたら、再び扉が開き設楽先輩が帰ってきた。手には箱を持っている。

「あっ、おかえりなさい」
「おまえ、この部屋の住人だったのか?」

この場合、どう挨拶すれば適切だったんだろう……

「ああ、ちょうどいいな。美奈子、その椅子に座れ」

言われた通りに、私は引き出した椅子に座る。
すると、設楽先輩は腰掛ける私の足元に跪いた。

「先輩?」
「絆創膏、貰ってきた。これで、帰るまでは我慢しろ」
「……ありがとうございます」

* * *

「じゃあ、戻りましょうか? ……先輩?」
「……いや、まだいいだろ」

立ち上がろうとしたら、肩を押さえられた。

その意図を理解できず、私は座ったまま設楽先輩を見つめる。
肩に置かれた設楽先輩の大きな手が熱を帯びてるのが剥き出しの私の肩に直に伝わってくる。

「あの……っ」
「黙ってろ」

腰掛けたままの私の前に回り込んだ設楽先輩は私の頬に片手を触れて見せる。そのまま、首をゆっくりと擦る大きな手。

―猫が首を擦られて気持ち良さそうにしてる理由、今ならわかるかも―

心地よくて、うっとりとしていた私の頬に唇が落とされた。
そのまま、先輩の唇は私の頬から唇へ……。
啄むようにキスが落とされ、それはやがて唇を食むような動きに変わる。

私の方から唇を少しだけ開けると、すぐにこじ開けるように舌が侵入してきた。絡みつく舌にあっさり虜になり、私も舌を絡ませる。
いつの間にか、互いに抱き合いながらキスを交わす私たち。

その間に首元からシュルリとドレスのリボンが外された。抱き合ってるから、まだドレスは胸を覆っているが、密着した体が離れれば、途端に胸をさらけ出すことになるだろう。
そうわかりながらも、キスに夢中になっていると密着していた設楽先輩の体が少しだけ離された。

「……っ!?」

体と体の間にできた僅かな隙間に設楽先輩は手を伸ばす。その手はご丁寧に私の肌とドレスと間に入り込んできた。

直に胸を揉まれるも、体と体に挟まれて自由に動かせないぎこちない愛撫はむしろ背徳感を仰ぎ立て、快感を増長させる。

唇同士が離れた。

「……先輩/// ダメ、こんな所で……あん!!」
「あんまり声を出すなよ? 鍵はかけておいたが、人が来たら面倒だからな」

白熱灯の光だけじゃないだろう、頬を赤く染めた設楽先輩から視線をドアに移すと、確かに鍵が内側からかかっているのが見えた。

「でも……」
「よく知りもしない連中に愛想笑い振り撒いてるより、こっちの方がよっぽど有意義だ」

体も離され、胸が晒されてしまった。

オレンジ色の灯りの中、勃ち上がった乳首がふっくらした乳房に影を作っている。
先程のぎこちなさとは違う愛撫。人差し指と中指で先端を挟み込みながらグニグニとは回すように揉まれ、ショーツがじんわりと濡れてきたのがわかった。

「ほら見ろ、おまえだってこっちのが良いだろ?」
「やぁ///」

設楽先輩が耳に息を吹き掛けながら、吐息交じりにしゃべるから、私の腰は設楽先輩の声に反応して震える。

―自分の正直な体が恥ずかしい……!!―

「素直な奴。美奈子、こっちに移るぞ」

手を引かれ、鏡の前の机に座るように命じられるまま、私は腰掛ける。
腰掛けてすぐに、先輩は片手で垂れ下がるドレスを胸に押さえつけていた私の手を引き剥がした。

「あっ!! んぁ///」

胸の先端を吸われて、思わず飛び出てしまった大きな声。
もしも、この部屋の前を誰かが通っていたら聞こえてしまっていただろう……。

急いで自分の口を両手で塞ぐ。

「……そういうの、気に食わないけど、案外そそるな。犯してるみたいで、刺激になるよ」

先輩はサディスティックな目をしながら、私のショーツに触れた。濡れ方を確かめるようにクロッチ部分を何度も往復させる。

「これなら、すぐに挿れても大丈夫そうだな」
「んぅ/// ……!? ヒッ///」

秘部の突起がショーツ越しにキュッと摘ままれた。
体がビクッと痙攣して、クロッチに大量の愛液が吐き出される。

「……そんな顔するなよ///」
「/// ……ふぇ? そん、な顔?」

急な絶頂を迎え、ただでさえ頭がボンヤリしてる今、自分がどんな顔をしてるのか想像できない。
設楽先輩に教えてもらおうと、見つめると先輩の頬が更に赤らんだのがわかった。

「ああもう……脱がすからな!?」
するりと性急にショーツが脱がされ、両足が机の上に上げられた。

「キャッ///」

自分の太股の間に先輩が見えた。徐にズボンのチャックを開け、自身が取り出されるのを見る。
見るのも恥ずかしいのに、その大きさと先端に滲む先走りに目が離せない……。

「これ、欲しいか?」

設楽先輩のキレイな手がグロテスクな自身を持つギャップ……すごい……。
恥ずかしさもあり、コクコクとだけ頷いた。

「なら、言え。欲しいって……じゃないと挿れてやらない」
「……設楽先輩が……ほ、欲しい……です///」
「……っ///」
「……アァアッ///」

さっきまで見ていた、それが一気に胎内に挿入された。
設楽先輩は私の両膝を持ち、腰を打ち付ける。

悦い所が自身の先端と竿に擦られて、腰が大きく跳ねる。何か掴もうとするものの、片付けられた机には何もない。
無意識に設楽先輩に手を伸ばし、先輩もそれに応えてくれ上半身を倒してくれた。

私の顔の隣に両手を置いた設楽先輩の肩を掴み、足は自然と設楽先輩の腰に絡ませていた。

今度は設楽先輩は私を抱き締めるようにして、腰をピストンからグラインドに変えた。それに合わせて私も腰を回す。

「せ、せ……ぱい/// もうダメ!!」
「わかってる///」

腰が再び激しいピストンに変わった。
さっきより激しく、ガツガツと奥を叩くような動きに私の胎内も先輩をキュウキュウと締め付ける。

「ハァハッ!! いっ……アァッ///」
「……!! ……クッ///」

*
*
*

「今日はありがとうございました」
「いや、俺の方こそ助かった。これで母にとやかく言われなくて済みそうだしな」

設楽家の車で自宅の玄関先まで送ってもらうと、先程までドレスを着てダンス会場に居たというのが嘘みたいに思える。
ドレスではなく普段着のワンピースにカーディガンを着て、ハイヒールを履いていた足にはお気に入りのパンプス。

本やテレビの中の話だとばかり思っていた世界から帰ってきたら、そこには普通の日常があった。

―まるで、魔法がとけたシンデレラ―

寂しいような。ホッとしたような……

「そうだ。今日の埋め合わせは今度するから、日曜日は空けておけよ?」
「はい。……あ、来週は部活があるから、その次の週でお願いします」
「わかった。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」

設楽先輩に別れの挨拶を済ませ、最後にハンドルを握る運転手さんにお辞儀をすると、運転手さんはにこりと笑顔で一礼してから車を発進させた。



END

〜あとがき〜

109000hit・キリ番を踏まれた雪様に捧げます。

遅くなって申し訳ありませんでした!!
何度か見たイベントではありましたが、記憶が曖昧だったのでイベントを発生させてから書かせて頂きました。

タイトルは某番組のキャッチコピーから拝借しました。
そのままはどうかと思いましたが、このイベントのバンビにはピッタリだと……。

お持ち帰りは雪様のみでお願いします。

里夏

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