*捧げ物【文】* | ナノ



天使は保健室で夢を見る


三時間目の休み時間、美奈子は屋上への階段を上がっていた。
二時間目まで形だけは授業に参加していた琥一が、三時間目には姿を見せなかったからだ。

屋上に続く階段の踊り場を曲がったら、屋上に上がる手前のスペースから横になってるらしい大きな足が見えた。


「もう……やっぱりここにいた」

背が高いため曲げられた足を避けて、右腕を枕に寝ている琥一に近付く。

「コウちゃん、起きて! コウちゃん!!」
「……んぁ? 美奈子?」

琥一は片目だけを少し開けて美奈子の姿を認識すると、すぐに寝返りをうった。

「もう! 授業始まっちゃうよ!!」
「ったく、デケー声出すな……気分悪ぃんだよ」
「えっ、具合悪いの?」

美奈子の表情はコロッと変わり、心配そうに琥一の顔を覗き込む。

「……ふぁあ〜ぁ……。んな、顔すんな。ただの寝不足だ」

美奈子の心配を取り除こうとするかのように、琥一は上半身をのそりと起こした。

「昨日、家ん中に蛾が侵入してきやがってよ……」

眉間に皺を寄せながら琥一は、昨夜の状況を話し始めた。

*
*
*

遅番のバイトから帰宅して、数時間…寝る前に飲み物を飲もうして琥一は一階に降りた。

三階の自室から一階に下りる途中、二階に宛がった弟の部屋を見れば弟・琉夏の姿が見えない。階下から何かを探すような音がするから、おそらく琉夏だろうと階段を下りれば、予想通り……琉夏はキッチンをウロウロしていた。

「あ、コウ」
「なにやったんだ。寝ろ」

そう言いながら琥一は冷蔵庫に向かって歩き出す。

「コウ、気をつけろ? 踏むなよ?」
「あぁ?」
「冷蔵庫の下……デケー蛾が止まってるんだ」

琥一は一瞬、動きを止めた。
そのまま、目線の先にある冷蔵庫の手前…そこに目を向ければ巨大な蛾が止まっているのが嫌でも目に入ってきた。踏み出した足をそのまま、引っ込める。

「コウ、殺虫剤どこ?」
「待てよ。たしか、冷蔵庫の隣の箱に…………」
「いいよ。コウはそこでおとなしく待ってて。俺、取ってくる」

虫嫌いの琥一に代わり、琉夏がソロリソロリと冷蔵庫に近付いた。
足音を立てないように慎重に歩く琉夏。

琉夏は殺虫剤に手にして、ニヤリと琥一を振り返ると、すぐに琥一の方へ引き返そう歩き出す。
しかし、その瞬間、殺虫剤は琉夏の手から滑り落ちカーンと床を鳴らした。落下した殺虫剤は蛾の元に転がり、蛾はそれを避けるために勢い良くはばたいた。

深夜のWest Beachには兄弟の野太い悲鳴が上がる。

*
*
*

「……やっとのことで蛾を退治できたと思ったら、もう一匹いやがった。で、結局、寝たのは3時半って訳だ」

昨夜の悪夢のような現実を、思い出すのも不快と言った感じに語った琥一は、最後に大きな欠伸をした。

「そっか……大変だったね」
「まあな……ルカは騒いでただけで、結局、二匹とも退治したのは俺だったしよ」

美奈子は今朝、会った琉夏がいつも通りだったのを思い出す。
琥一の話から察するに殺虫剤は一本しかなく、実質的に琥一が殺虫剤片手に一人で戦っていたのだろう。

「……わかった。今だけは、見逃してあげる」
「まじか?」
「まじです。でも、ここだと体休まらないだろうから保健室行こ? 今日保健の先生出張で休みだから、保健委員の特権でベッドの使用を許可します」
「助かったぜ。ここだと体が痛くてしかたねぇ」
「ふふふ。その代わり、午後からは授業受けること!!」
「まじかよ……」


* * *


昼休み、美奈子はお弁当を持って保健室に琥一の様子を見に向かった。


「コウちゃん、お昼の時間だよ。そろそろ起きて?」

琥一が陣取るのは現在カーテンが掛かってる唯一の一番奥のベッド。
呼びかけても反応がなかったので、美奈子は閉じられたカーテンを少し開けて様子を見る。

琥一は静かに寝ていた。

美奈子は琥一が眠るベッドの淵に腰掛け、上半身だけ捻って寝てるその姿を観察し始めた。

(顔が怖いなんて、とんでもない。鼻筋の通った端正で精悍な顔立ちだ……)

もっと見つめていたくて、調子に乗って、座っていた下半身もベッドに上げた。ちゃんと上履きは脱いでるあたりが真面目な美奈子らしい。

(睫毛も長いなぁ……あ、眉間に皺……っ!?)

突然、腕を引かれてバランスを崩した美奈子は琥一の上半身にダイブ。

「クク…俺の顔なんて観察して、なにが楽しいんだよ」

聞きなれた声に反応した美奈子が厚い胸板から顔を上げれば、寝てるはずの琥一と目があった。

「コウちゃん!! 起きてたの!? いつから……」
「オマエが入ってきた時だな。寝たフリしてビビらせてやろうと思ったら……寝込みを襲ってくるたぁ良い度胸だ」

美奈子の左腕は琥一に掴まれたまま。空いてる手は美奈子の白い脚を摩り始めた。

「ひぁっ!!」
「バレたくなきゃ声、我慢しとけ」

そのまま、琥一の手はスカートの中に伸ばされる。

「コ、コウちゃん!? ダメだよ/// ここ学校…んぁ!!」
「二週間もヤッてねぇだろ? 悪ィな…我慢できねぇ。つうか、よく言うぜ……濡れてるじゃねぇか? ここは正直だな? オイ」

太い指で下着越しに秘部を擦られ、濡れてる事実を言い当てられた美奈子は羞恥から顔を真っ赤にさせた。目には涙を浮かべている。

「で、も…あっ/// コウちゃ…お昼ごは……んは? お弁当持って…やん///」
「オマエ喰えりゃ、メシはいいわ。それより、気持ちいいか?」
「あん/// き、気持ちいいよぉ/// コウちゃん…キスして?」

しばらく秘部を愛撫された美奈子は快感に負けて琥一にキスを強請った。
琥一は応えるように、己の唇を美奈子の唇に近付ける。

「して欲しいのはキスだけか?」
「……えっち…しよ?」

羞恥を我慢して伝えた美奈子に降ってきたのは触れるだけのキス。しかし、それはすぐに噛み付くような荒々しいキスに変わった。


* * *


ここは学校で、保健室。いつ誰が来るかわからない。
念のために内側から鍵は掛けたが、誰かが合鍵を借りてきたらアウトだろう。

カーテンは閉めたまま、お互いに衣服をずらしただけで琥一と美奈子は愛し合う。

美奈子のシャツのボタンは全て外され、ブラジャーは下にずらされていた。保健室のベッドの上で乳首までさらけ出された美奈子の胸に琥一は赤子のようにしゃぶりつく。

琥一は美奈子の脚の間に自分の体を置いていた。
スカートは腰まで捲り上げられ、まだ穿いたままの下着をずらしながら美奈子の胎内を中指と人差し指で激しく抜き差しする。


「ひゃぅ!! コ、コウちゃん/// もう、も…イク/// ぁあ/// いっしょ…イこ?」

琥一は自分を掴む美奈子の腕にある時計を見た。
昼休みはあと10分もない。

「あぁ、わかった。ちょっと待ってろ?」

琥一はチャックを開けると、勃起して先走りを垂らす自身を取り出す。
今度はズボンの後ろポケットからコンドームを出し、すぐに自身に装着した。

それを確認した美奈子は自分から脚を限界まで開き、秘部を露にさせる。
琥一はそこに自身の先を当てた。
薄い膜越しに伝わる熱が美奈子の興奮を、頬を真っ赤に、体を桃色に染めて涙を浮かべる美奈子に琥一の興奮を最高潮に盛り上げる。


「挿れるぞ?」
「うん/// ……あぁ……大きい///」


琥一の大きさに慣れ、あっという間に自身を根元まで飲み込む美奈子のソコ。
収まりきらない愛液は琥一の自身に居場所を奪われ零れた。

腰を動かせば、簡易なベッドはすぐにギシギシと音を響かせる。

一瞬、琥一はベッドが壊れるのではないかと危惧したものの、自分の下で犯されながら、必死に声を抑えて喘ぐ小柄な美奈子の淫靡さに、すぐに腰を動かすことしか考えられなくなった。


―ギシギシ、パンパン、パチュパチュ―


保健室に響く不釣合いな音。


琥一は挿入したまま、器用に美奈子をうつ伏せにすると腰だけを持ち上げピストンのスピードを速めた。最奥を狙って勢い良く突けば、美奈子の胎内はキュウキュウと痛いくらいに琥一の自身を締め付けてくる。

「コウ…ちゃ、ん/// ダメダメ、もうイっちゃ…アァッ///」
「クッ……美奈子!!」

琥一の自身が盛大に爆ぜ、美奈子は目を閉じて膜越しの熱を感じていた。

*
*
*

午後の授業が開始された教室に琥一はいた。

「おっ! 琥一、午後は真面目に授業受ける気になったか?」

大迫は琥一の姿を確認すると、大袈裟に歓声を上げてみせ、そんな担任に琥一はバツが悪そうに顔を背ける。

「よし、じゃあ、始める……ん? 鹿野はどうした?」
「……あ〜、美奈子……いや、鹿野はさっき具合悪ぃとかで保健室に……」


天使は保健室でを見る


放課後、換気を兼ねて窓が開けられた保健室で静かに寝息を立てる美奈子を迎えに行った琥一の姿があった。



END

〜あとがき〜

87654hit・キリ番を踏まれた方に捧げます。

お待たせしました!!
天使なのかどうか、書いてるうちにわからなくなってしまいました(;´∀`)ヾ
エロがぬるいような気も……ゲフンゲフン

リクエストありがとうございました。
お持ち帰りは87654hit様のみでお願いします。



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