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B


〜コンノの場合〜

外は暑さが厳しいから、私たちはセンターの中で休憩することに……。

「2人とも、なにか探してるの?」

コウとニーナ、コンノに手伝って貰って飲み物を買いに行き、戻ってきてみたら……ルカとアラシが荷物を抱えて、中を探っていた。

「おかえり。手持ちの飴ちゃんときのみがなくなったから、新しいの探してる」
「え……2人とも、なくなっちゃったの?」

2人はコクリとうなずく。

「でも、渡してから、バトルしてないよね。……なくしちゃったの?」

「あぁ、うん……“なくしちゃった”とも言う」
「ルカ……オマエ……」

ルカが視線を逸らす。

「一つじゃ足りねぇよ」
「足りないって……アラシさん、まさか……」

アラシは堂々としている。

「「腹減ったから喰った」」

2人の告白にコウとニーナは予感的中という呆れた表情をした。

「え、普通に食べちゃったの!?」

純粋に驚いているのはコンノだけだった。

* * *

「最近、彼女のバッグにストックしてある“きのみ”がすぐになくなることがよくあったけど……あれは君たちの仕業だったんだね?」

センター内のテーブル1つを使っての緊急会議。
ルカとアラシは私の正面に座らされている。

戦闘中に食べることで様々な効果を発揮するきのみは便利なものだ。
そのため、野生のものを収穫したり、販売されてる場合には買って補充しているのだが最近は随分と減りが早かった。

「俺、元気な育ち盛りだからさ、お腹減るんだ。毎日おやつにホットケーキ作ってくれたら、お腹減っても勝手にきのみ食べないよ?」
「“腹が減っては戦はできない”って言うだろ? しょうがねぇじゃん、腹が減るんだから……なんか、また腹減ってきた」

アラシのお腹が鳴る。

「おやつのことはさておき……2人の言い分も間違ってはいないし、どうしようか?」

困り顔で私に意見を求めてくるコンノ。

「うん〜……でも、きのみも大量に買えば結構な値段になるし……どうしても空腹に耐えられない時に少しだけなら……」
「うん、そうだな。倒れられるよりは……」

こうして緊急会議は終わり、私はお手洗いに行く為に席を立った。



「オイ! ルカ!!」
「ちょ…アラシさん、さっきの話聞いてました!?」
「許せ、コウ! 今がその時だ!!」
「少しだけなら良いってアイツも言ってたろ。おまえも食うか? これがうめぇんだ」
「それ!? スッゲーレアなやつですって!!」

「……本当に君たちは…………しかたがない、カイチョウ命令! 『さしおさえ』だ!!」


※さしおさえ…5ターンの間、相手が道具を使えない状況にする。トレーナーがそのポケ○ンに使うことも出来なくなる。


************


〜セイジの場合〜

「次のレベルになると“したでなめる”を覚えられるよ」
「……いやだ」

バトル終了後、HPが危ないシタラに傷薬を使っていたら、コンノがそう教えてくれたのだ。それを聞くや否やシタラが露骨に嫌な顔をした。

「えっ、どうして……」
「普通に考えればわかるだろ!?」
「僕にはわからないな……“したでなめる”は攻撃も出来るし、結構な確立で相手を麻痺させることが出来る使い勝手のいい技だよ?」
「私も、便利な技だと思うけど……」
「だから! 舐めるんだぞ!! 野生の奴らなんて風呂にも入ってないだろうし……そもそも他人を舐めるなんて汚いだろ!?」

機嫌を損ね、プイっとそっぽを向いたセイジに困り、コンノと2人で顔を見合す。本人は嫌でも、少なくとも習得はしてしまうのだ。

「なら、俺はもうバトルには出ない。そういうのはルカたちの役目だ」
「バトルに出ないって……それじゃあ、彼女の旅について来る理由もないじゃないか」
「そ……それとこれとは関係ないだろ!?」

「おっ? セイちゃん、どうしたよ? 綿毛飛んできたか?」
「げっ……おまえたち…なんだよ?」
「セイちゃんにも飴ちゃんあげようと思って……はい」

訝しげにルカが手にする飴を見つめるセイジ。

「変なもの入ってるんじゃないだろうな?」
「そんなことないよ。ちょっと珍しいけど一般的な飴ちゃんだよ?」

セイジは飴を口に入れた。

「おいしいでしょ?」
「……普通の味だ」
「そう? 不思議な味……しない?」
「不思議……? なんだよ、ふしぎ……まさか、これ……!?」
「セイちゃん、大正解!! 食べるとレベルが上がっちゃう“ふしぎなあめ”でした!!」

レベルが上がったその瞬間、セイジは気を失って倒れた。

「キャー!! 大丈夫!? しっかりして!!」

「ルカ、オマエよぉ……」
「だってさ、飴、つき返されると思ってたんだ……ゴメン、セイちゃん」
「おい、あとで、“技忘れ爺さん”だったか? 連れてくぞ。たしか、さっきの町にあっただろ」


※したでなめる…30%の確立で相手を「麻痺」状態にする。


〜2012年9月、10月の拍手文〜

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