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それは素敵な恋の色



「お疲れ様〜。はい、不二山くん。召し上がれ♪」
「どうもな」


他の部員が帰った後、不二山くんは一人での特訓を怠らない。それが終わったのを見計らって、不二山くんにスポーツドリンクを渡すのが最近の私の日課であり、密かな楽しみ。

「く〜っ、うめぇ!!」

喉を鳴らしながら、ゴクゴクと飲み干す姿は豪快で、見てて気持ちがいい。そして、飲み終わると…素敵な笑顔を見せてくれる。

不二山くん設立の柔道部はまだ部員は少ないけど大迫先生が顧問になってくれて、部室が出来て、確実に部活動として成立してきている。


ふと時計を見れば、午後7時半過ぎ。今日は私も不二山くんもバイトがないから、いつもより帰るのが遅い。


*
*
*


「あれ? 不二山くん、お家こっちじゃないよね?」

「うん、違う」
「じゃあ、こっちに何か用事?」
「送ってく」

「???」

「おまえ。もう遅いし、女一人じゃ危ないだろ?」
「えっ/// …だ、大丈夫だよ!?」
「何があるか、わかんねーだろ? 女なんだから少しは危機感持て。ほら行くぞ……ここ右だっけ?」
「うん、それで次は左」

どうしよう! 今、私の顔、凄く熱い!!
真っ赤になってるかもしれない///

でも、鏡で確認なんてしたらナルシストな奴だって思われちゃうかもしれないし…/// はっ…こんな考え自体がナルシストなのかな!?

「ん? …どうかしたんか?」
「なっ、な〜んでもな〜い! うん、なんでも///」


*
*
*


「送ってくれてありがとう。帰り一人になっちゃうでしょ……大丈夫?」
「俺を襲う奴なんていねーよ。じゃあな、鹿野。また明日」
「うん、またね」


そう言って、手を振りながら来た道を引き返していく不二山くんに、私もぎこちない動きで手を振り返す。

いつもより長く居られた分、別れるのはなんだか名残惜しいけど…そんな事も言えないから、その大きな背中が見えなくなるまで見つめている。


私、ずっと顔赤かったかも…夕日で誤魔化せたかな?


それは素敵恋の



END


〜あとがき〜

この2人に限っては「鹿野」、「不二山くん」と名字で呼び合ってるのがベスト。
胸がキュンとなります。

里夏

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