A ルカ&コウ兄弟と旅をはじめて数十分…間もなく、森を抜けると言うところで突然ルカが「あっ!」と声を上げた。 「美奈子見て、あそこ…」 ルカに促されて、目を凝らせば…少し先に何か小さな生き物の様なものが道に俯せに倒れていた。 ルカが走り出す。 「おい、死んでんじゃねぇだろうな?」 不吉な事を口走るコウと共に、先を行くルカを追う。 ルカはどこから拾ってきたのか、細い枝で倒れている生き物の背中部分を突いていた。 度胸のある子だなぁ…。 「おい、ルカ。やめとけ」 コウが、そう言いながらルカに近付いた瞬間… “ぎゅるるるぅぅ〜 ” 突如、鳴り響いた謎の音にルカとコウがフリーズした。 思わず私も近付こうとするが、自称ヒーローのルカに「美奈子は危ないから来ちゃダメだ!」と止められた。 すると、ルカの大声に謎の生き物がムクッと顔を上げた。 よかった…生きてた!! あの子はたしか…ジュウドウポケメンの『アラシ』だ。 「腹減った〜」 再び鳴り響く“ぎゅるるるぅぅ〜” あれはアラシのお腹の虫が鳴った音だったようだ。 とりあえず、空腹で行き倒れていたアラシに持っていた食べ物を手渡せば… 「食っていいんか?」 言うや否や、物凄い勢いで食べはじめた。 「俺、腹ぺこで行き倒れてる奴って初めて見た」 美奈子の膝を陣取っていたルカが呟けば 「森には食いモン結構あるからなぁ。…あれだ、モモンの実。あれは美味ぇぞ? 今度美奈子にも食わせてやる」 左隣りに座るコウが教えてくれた。 しばらくすると、ようやく食べ終えたアラシが満足そうな顔をして顔を上げた。 「食わしてくれて、どうもな。すげぇ美味かった」 「どういたしまして♪(ニコッ)」 「…いい…。よし、決めた。俺、おまえに着いていく事にしたから!」 「えっ!?」 「「はっ!?」」 「なんだよ? 俺、なんか変なこと言ったか?」 不思議そうな顔をするアラシ。 すかさずルカが膝から飛び降りてアラシに突っ掛かっていった。 「美奈子には俺が…俺とコウがついてるから、おまえは来なくていいよ。バイバイ」 ルカがアラシに向かって小さな手を振れば、コウもシッシッと言う手つきをして見せた。 「それを決めるのはおまえらじゃねぇだろ? …美奈子だっけ? おまえ、俺のトレーナーに向いてると思うんだ。俺が強くなるために俺を見ててくれ!!」 若干ガラの悪い二人にも負けてない。 アラシが仲間になった。 ルカもコウもなんて顔してるんだろう…怖い。 * * * 個性豊か過ぎる3匹を引き連れた美奈子は町に着いて、すぐにポケ○ンセンターに向かう。 否、向かわなければいけない…。 途中、コウとアラシが取っ組み合いの喧嘩を始めてしまい、二人のHPはすでに赤くなっていた。 「俺はもう喧嘩しないよ? 美奈子が嫌がることはしないって決めたからね」 もう? そう言っていたルカは元気だったが、興味本位でセンターでの治療を受けていた。 3匹共センターに来るのは初めてらしい。 みんなが元気になるまで、ジュースでも飲んで待っていようかと自販機の前で選んでいたら…声をかけられた。 「お姉さん、一人? ね、俺と遊ばない?」 足元に、また小さな子が…なんでナンパ口調なのだろうか? ルカより少しだけ小さなその子に「ごめんね、一人じゃないの」と告げれば… 「え〜…マジ、寂しいし」 とか、なんとか言いながら去って言った。ナンパ慣れしてるんだろうなぁ…。 あれ? そもそも今のはナンパなのかな? まだ時間がありそうだったので、ついでに実家に電話で隣町に着いた事を報告。 電話を終えると同時に、元気になった3匹がこっちに歩いてきた。元から元気なルカが「ヒーロー参上〜!!」と走ってきて私の胸にダイブ! 危うく落っことしそうになったが、どうにかキャッチ出来た。 後ろの二人も大人しくこちらに向かって来ている。 あれ? アラシが何か背負ってる…ヌイグルミの様な、どこかで見たことあるような…。 あっ、さっきのナンパの子!! 「こいつ、いい瞬発力持ってる。柔道に向いてると思ったから捕まえてきた。ちょっとチャラいけどな」 「鍛えがいがある」と悪い笑みを浮かべるアラシの背中で伸びている…可愛そうなナンパポケメンの『ニーナ』 コウの話によれば… 「あいつ、突然あのチャラいのを追い掛け回し始めてよぉ、面白がったルカが挟み撃ちに持ち込んで…結局逃げ切れずに背負い投げ喰らって伸びちまった。…情けねぇ野郎だ」 …だそうだ。 とりあえず、可愛そうなニーナをジョーイさんに預けたので、もうしばらくセンターにいることになってしまった。 To Be Continued 〜あとがき〜 “隣町の博士のとこに行くだけなのにどれだけ時間が掛かってるんだ” と、ツッコミが来そうですが、そこはスルーでお願いします!! そして全3話予定と言いましたが、確実に全4話以上になります。 読んで下さってる心の広い方はもうしばらくお付き合い下さいm(_ _)m グダグダ続きます。 里夏
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