@ 今日は私のトレーナーとしての旅立ちの日!! どんな、ポケ○ンたちと出会えるのかなぁ…ワクワクしちゃう!! 最初のポケ○ンは誰にしようかなぁ? 新人トレーナーに初心者用のポケ○ンをくれる、オーサコ博士は隣町に住んでいた。 “隣”と言っても、このトキメキ地方の中でも美奈子の故郷、ハバタキタウンとその近辺はのどかな田舎だ。 …隣町に行くのでさえ、森を抜けなければいけない。 立派なトレーナーになるために新人トレーナー・美奈子の旅が始まった!! * * * ドキドキワクワクの旅立ちから、数分…美奈子は何者かの気配を感じ、立ち止まった。 どうしよう…やっぱり森に入った直後から誰かに着けられてるみたい…!! 慎重に辺りを見回す美奈子。 すると、少し後ろにある木の影からこちらをジッと見つめる瞳を見つけた。 あれは…ヒーローポケメンの『ルカ』だ!! 「あのさ…一緒に行っちゃダメ? 俺、ヒーローだから、オマエを守るよ? ねぇ…ダメ?」 なんて、甘え上手なのだろうか…顔だけを覗かせて、木に両手をちょこんと置いて体を支えてる姿、そして寂しげに訴えてくる瞳と先程のお願いに私は母性本能の全てを持って行かれたのを理解した。 こうして、私の旅に小さなヒーロー・ルカが加わった。 * 道中、ルカは「飴ちゃんとホットケーキが好物」なのだと教えてくれた。* * まだ、ボールがないので美奈子の足元をチョコチョコ歩いているルカの姿のなんと愛らしいことか…。 ルカを抱っこしてやれば嬉しそうにしがみ付いてくるので、ずっと抱っこしてあげたいのだが…筋力のない腕では数分が限度なので、悪いがルカには歩いて貰っていた。 ルカと出会い30分。 腰掛けるのに適した切り株を見つけた二人は腰を下ろし、しばし休憩タイムを楽しんでいた。 一生懸命について来るルカを労い、好物の飴をあげていると… 「バカルカ!! こんなとこにいやがったのか!」 のどかな雰囲気には不釣り合いなドスの効いた声が響いた。 「あっ、コウだ…」 ルカが視線を向けた方に自分も視線を向けると…いた。 ルカよりも体は大きいが、自分よりはずっと小さな「コウ」がドスドスと歩いてくる。 アニキポケメンの『コウ』が現れた!! 小さな身体には不釣り合いに怖い顔をしているコウがこちらに向かって来る。 すると、ルカは大袈裟に怯え、美奈子の後ろに隠れてしまったのだ。 コウの眉間にシワが寄る。 直後、コウに首根っこを掴まれたルカは美奈子から強制的に引き離され、ズリズリと引きずられていった。 「いやだ、助けて美奈子! コウが虐める!!」 泣きそうな声を上げ、必死にコウに抵抗しながら私に助けを求めるルカ。 ルカの必死さに絆された美奈子は、ついコウの前に立ち塞がると話し掛けた。 「ねぇ、ちょっと待って!! ルカはこんなに嫌がってるのにどうして連れていこうとするの? こんな暴力みたいなマネはダメだよ? 何か理由があるなら話してほしいな?」 そう伝えれば… 「あぁ?」 と一睨みと威嚇をされた。 …怖い顔… しかし、どうやらコウは事情を話してくれるらしい。 その証拠にルカを離すと…「来い」と先程、美奈子たちが座っていた切り株へと歩き出す。 コウに解放されたルカが笑顔で私の足元に擦り寄ってきた。 先程の半泣きは演技だったのだろうか? コウは切り株に腰掛けると「メンドクセーなぁ」と言いながらも話してくれた。 ルカいわく、「メンドクセー」はコウの口癖らしい。 コウの話によれば…コウとルカは兄弟で二人で遊んでいる最中、コウが目を離した隙にルカが居なくなっていたらしい。 捜し回って、ようやく見つけたと思ったらルカは見ず知らずの人間(私)に飴を貰っていたんだとか…。 (兄弟か…まったく似てないし、むしろ別の種族っぽいけど…もしかしたら、複雑な事情があるのかも…?) 「ほら、ルカ帰るぞ」 「だから俺は美奈子を守るヒーローになったんだって!! コウ、一人で帰りなよ」 「何言ってやがる、おまえも帰んだよ」 「いやだ」 * * * 結局、美奈子の側を離れたくないと駄々をこねたルカに根負けしたコウも一緒に行くことになった。 なんだかんで言って優しいお兄ちゃんなんだ。 顔は怖いけど…。 「よろしくね! コウ」 「お、おう!? あれだ、あんま顔近付けんじゃねーよ」 「あっ、コウ赤くなってる」 「うるっせぇ!!」 「ねぇ、美奈子。 俺は顔近付けてもいいからね? チューしてあげる」 「バカルカー!!」 To Be Continued 〜あとがき〜 当初は6ページ程の短編パロになる予定が描いてる間に、どんどん長くなってきたので分割して短期集中連載にしてみました。 話が進めば進むほどグダグダに拍車がかかるダメダメシリーズ!! 誰の得にもならない、全3話予定です。 里夏
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