僕のマリア様 〜♪〜♪〜 「今度の休み海に行かない?」 「どうすっかな…」 美奈子からのお誘い電話。 …断っちゃった。その日は約束があるって。 でも、ゴメン…アレ嘘。本当は先約なんてない。 ただ、冬の海に行きたくなかっただけ。 せっかく誘ってくれたけど…。 ※※※※※※ 日曜日。 俺は買い出しに行くことになった。醤油と油とあと、何かがなくなっちゃったから。 気付いたコウ本人が行けばいいのに…「俺はバイトだ。バイト」だそうだ。 街で偶然美奈子に出くわしちゃったら、なんて言い訳しよう…なんて考えて、ソワソワしながらの買い出し。 ……なんか女々しいな俺。 結局、美奈子に会うこともなく買い出しは終了。 波の音を聞きながら海岸沿いを歩いていたら、目に飛び込んできたのは砂浜にいる…間違える訳もない大好きな美奈子の姿。 いつもの癖でつい声を掛けようとして――やめた。 そうだ、俺には今日先約があるんだ…声を掛けたら、嘘がバレるかもしれない。 それに美奈子を見つけた嬉しさで気付かなかったけど…美奈子は不二山と一緒にいた。 不二山は柔道部の主将で美奈子はマネージャー。 別に二人でいても何もおかしくないんだ。 …でも、どうしようもなく不安になる。 わかってる、ただの醜い嫉妬だって事くらい。 ねぇ、美奈子…お前は海に行ければ相手は誰でもよかったの? 俺と行きたいから俺を誘ったんじゃないの? WestBeachに帰ってからも、さっきの光景と嫉妬心でぐちゃぐちゃしてる。 いやだ、美奈子が誰かに……俺以外の誰かに取られるなんて!! 俺だけのものにしたい…。 手を打たないと…俺だけの可愛い美奈子。 * * * 休み時間に美奈子を捜してウロウロする。 それなのに…大迫ちゃんやカイチョーに追い掛けられたり、女子に囲まれたり…なんで、みんな俺と美奈子の邪魔するんだよ…。 ようやく美奈子を見つけた。しかも、一人だ♪「美奈子!!」 「琉夏くん」 「今日さ、一緒に帰ろ?」 「いいよ」 「やった! じゃあさ、お昼も一緒に食べよ?」 「ふふふ、いいよ!」 ※※※※※※ 「ねぇ、美奈子、今度の休み空いてる?」 誰にも邪魔されない二人だけの下校時間に誰にも邪魔されないための誘いをかける。 「空いてるよ?」 「うちに来ない?」 断られたらどうしよう…。 「いいの?」 「美奈子なら大歓迎!!」 やった。美奈子が家に来る…これで美奈子は俺のものだ…。 ※※※※※※ 美奈子が来る前夜…俺は部屋を片付ける。 「おっ、珍しいな? ルカが進んで片付けなんてよ…明日は槍でも降るのか?」 上から下りてきたコウが俺を見てからかってきた。 「コウ、明日は朝からバイトだっけ?」 「あぁ、稼げるときに稼いどかねぇと…飢えるからな」 「だね」 「で、美奈子が来んのか?」 「…わかるんだ」 「わかりやすいんだよテメーは…」 ※※※※※※ 「それじゃあ、おじゃましま〜す♪」 「いらっしゃい!」 「先に俺の部屋に行ってて。お菓子とジュース持ってくから…あっ、ベッドにでも腰掛けててよ」 「手伝おうか?」 「平気。美奈子はお客さんなんだから寛いでてよ」 ※※※※※※ 「琉夏くんの部屋キレイだね。 ベッドシーツもキレイにピシッとしてたから、崩しちゃ悪いと思って座れなかったよ」 そう言いながら、笑う美奈子は本当にベッドの前に立って俺が来るのを待っていた。そういう謙虚なところが堪らなく好きだよ。 遠慮する美奈子をベッドに座らせて、俺も隣に腰掛ける。 気にしなくていいんだよ? シーツは今朝、美奈子のために替えたんだから。 もう少しだ…。 お菓子を食べながら、楽しくおしゃべりした後は二人でコウの部屋にコッソリ忍び込んだ。俺がレコードの中身を入れ替えるイタズラを提案すれば、美奈子は「怒られるよ?」と言いながらも、楽しそうに笑うから俺も調子に乗ってしまう。 どうせ怒られるのは俺だけだから構わない。 コウは美奈子に甘いからね。 再び、俺の部屋に戻ってきた。俺が先にベッドに腰掛ければ、自然に美奈子も隣に座る。 美奈子が耳に髪を掛ける仕種が色っぽい。 思わず見詰めれば俺の視線に気付いた美奈子が一瞬俺を見る。 目がバッチリ合うと美奈子は、はにかみながら俯いてしまった。 頬が紅く色付き、落ち着きなく髪を弄っていた。 「ねぇ、俺のこと好き?」 「…えっ!? 好きだよ」 俺の不意の問いに間抜けな声を上げながらも肯定してくれた美奈子に俺は更に「好き」の意味を追求していく。 「それは…友達として? 幼なじみとして? それとも男として?」 「…琉夏くん、どうしたの?」 「俺は美奈子のこと好きだよ? 幼なじみとして…一人の女の子として好き。美奈子はどういう意味で俺のことが好き?」 「いたっ! 琉夏くん、痛い…痛いよ!!」 知らず知らずに美奈子の手を掴んでいた。 痛がってる…でも、やっと触れられた高揚感で離すどころか、より強く掴む。 逃げようとする美奈子をベッド上で追い詰める。 美奈子の怯えた瞳に俺が映る。 やっぱり幼なじみだとしか思ってなかった? 幼なじみにこんなことされると思わなかった? 俺も男だよ? ……悪い子なんだ。 ※※※※※※※ ベルトで美奈子の腕を拘束して無理矢理に裸に剥いていく。 「いや! やめてっ!!」 「無駄だよ。コウも当分帰って来ないから」 腕を拘束しちゃったから完全に服を脱がすことは出来なかった。 それでも…俺の手で上着をめくり上げられて、フロントホックのブラジャーを外され、胸をさらけ出す美奈子は全裸より艶めかしい。 ※※※※※※※ どのくらい経ったかな? 美奈子の身体も俺の愛撫で悦びを知った。 何度も俺の手で、舌で、感じてくれてる。 そろそろ、俺のを挿れるか…。 自身を取り出して、散々弄んだソコに腰を沈めようとした時、美奈子が閉じていた目を開けて俺を見る 「る、か…くん…」美奈子の喘ぎ声じゃない声を聞いたの久しぶりな気がする。 「なに?」 髪を撫でながら顔を近付けこちらから問い掛ける。 「ど、う…して…どうして、こんなことするの?」 今にも、また泣き出しそうな切ない声で問われる。 一気に血の気が引いた気がした。 何やってるんだ…俺? 頭に掛かってた霧が晴れれば、目の前の美奈子の状況を認識して、後悔ばかりが頭を回って身体が動かない。 俺のせいで美奈子が泣いてる…。 気付いたら俺も泣いてた。泣きながら美奈子の拘束を解いていた。 「ゴメン、ゴメン」と無意識に呟く。 許される訳ないのに…でも、ゴメンしか言えない。 「琉夏くん…」 美奈子が解かれたばかりの両手を摩りながら俺を見てる。 「あの…琉夏くん。私、怒ってないから…話して欲しい。なんで、こんなことしたのか…」 ※※※※※※ 本当は隠し通したい醜い感情なのに… あの日、美奈子と不二山が一緒にいたのを見たこと、それが嫌だったこと、今日はただ一緒にいたかっただけだったこと、こんな事するつもりなかったこと… 全部話した。 美奈子はシーツに包まりながら黙ってた。 嫌われた…。大好きな美奈子に…。 嫌な沈黙…逃げ出したくなるけど、自分ん家だから逃げ出せない。 沈黙を破ったのは…しばらく黙っていた美奈子だった。 「…あの日は…不二山くんとは偶然会って、どうせだから練習試合の計画を練ってたの」 話してくれた。あの日のこと…。 俺が黙って聞く番だ。 「琉夏くん、さっき言ってくれたでしょ…私のこと好きだって…嬉しかったんだよ」 心臓が止まったかと思った…。 「でも、突然過ぎて、それと痛かったから…びっくりしちゃって…」 美奈子は何を言ってるの? わからない…俺、あんな酷いことしたんだよ? 犯そうとしたんだよ? もう少しで取り返しのつかないことしようとしたのに…。 「無理しなくていいよ…美奈子は優しいから…俺を無理して許してくれようとしてるんだ」 なんで、美奈子…なんで、そんな悲しそうな顔するの? 「…無理してないよ…信じて貰えない? 私、怖くないよ…琉夏くんが安心出来るなら、琉夏くんを助けてあげれるなら…私を好きにしていいから」 ※※※※※※※ 美奈子を信じてない訳じゃなかった。だから、本当は美奈子を家に帰すべきだったんだ。 …なのに…。 「ひゃっ……あっ、あぁぁ!!」 結局、美奈子を組み敷いた。 あの後、美奈子から抱きしめられてキスされたて、止まらなくなった。 美奈子のソコをもう一度、愛撫してやれば、さっきより溢れてきた蜜。 指を一気に二本突っ込んで掻き回して、間接を曲げて、さっき見つけた“美奈子が気持ち良くなるポイント”を重点的に攻めてやれば…身体中で快感を表した。 感じ方も喘ぎ声も犯されてる時とは違う。 …悲しみや恐怖の混じらない純粋な甘美。 指を引き抜き、痛いほど主張する自身をソコに宛がえば、わずかに美奈子の瞳に恐怖が宿る。 「怖いなら、無理しなくていいよ?」 「…大丈夫」 どこまでも美奈子に甘えてしまう自分が嫌になる。 それでも止まらない征服欲と性欲を美奈子にぶつけた。 お互いの性器から溢れる蜜が交わって生まれる一際、卑猥な「グチャ」という音を合図に俺達は繋がった。 狭いそこは俺を拒絶するようにギチギチと行く手を阻もうとしてくる。 どうにか根本まで挿れたけど…油断したら出ちゃいそう。 ―ぐちゃぐちゃ、グプグプ― 「美奈子…凄いキレイ。おまえが居れば、もう何もいらない…」 美奈子に突っ込み、腰を振りながら偽りのない愛を囁く。 それを合図にしたかのように美奈子が絶頂を迎えて、俺を受け止めてくれる。 ピンと足の先まで痙攣させてイッたと思えば、すぐにグッタリした美奈子の身体を抱きしめた。 意識も感覚も下半身に集中して頭がボーッとする。 今、俺のが美奈子の中で出てる…。中も外も繋がってる場所全部が熱い。 熱があるみたい…。 一滴残らず中で出しても抜かずに繋がったまま…俺も眼を閉じた。 いっそ、これで美奈子が俺の子を妊娠すれば…美奈子は俺のものになるのにな……。 いや、やっぱダメだ…俺、変わらなきゃ。 美奈子に相応しい男にならないと。 ※※※※※※※ 「送ってくれてありがとう」 「身体、大丈夫?」 「ちょっと、痛いけど大丈夫…」 「そっか、ゴメン…あのさ、なんかあったら言ってね?」 「えっ?」 「ゴムしないで中で出しちゃったから」 「…!? わ、わかったから、はっきり言わないで! …恥ずかしい…」 「ヤバイ…恥ずかしがってる姿も可愛い!」 「もう!!」 家に入る美奈子の背中が見えなくなるまで見つめて、美奈子の部屋の明かりが付いたのを確認してから俺も帰る。 明日からは、これまで以上に美奈子を大切にしよい。 こんな俺を許して、愛してくれる美奈子はマリア様みたいだ…。 END 〜あとがき〜 すみません…琉夏が少し(?)病んでしまいました。 最初はただの嫉妬だけだったんですけど…気付いたら病み思考に(苦笑) 何度、冬の海に誘っても断られたから…カッとなってやった。今は反省している。 嫉妬させたかったんですけど、嫉妬通り越して病みました…ゴメンね。 里夏
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