カウントダウン ある日の昼下がり…完成待ち遠しい琉夏くんの新居で私は琉夏くんとのんびりしていた。 「琉夏くん…あのね」 「なに?」 「うん…えっと、その…スを…」 「?? ゴメン、もう一度言って?」 「……キ、キス…しても…いい?」 なんとなく、キスしてあげたくなった。 いつも、キスするときは彼からばかり…私からキスをしたのは卒業式の後の一回だけ。 「えっ…マジで!?」 私の膝を枕に寝転がっていた琉夏くんが切れ長の目を真ん丸に見開いて飛び起きた。 「……嫌?」 「ううん。むしろ大歓迎♪ ほら、おいで?」 私の正面に座り直し、目を瞑って“キスされる”体勢で待ち構える琉夏くんに顔を寄せる… (綺麗な顔…) スッとした鼻梁、形の整った薄めの唇…伏せられた睫毛は長くて、きめ細かい肌に影を作ってる。 (男の子なのに、なんでこんなに綺麗なんだろう…ずるいよ) 思わず、その端正な顔に見惚れていたら琉夏くんの目がパチッと開いた。 「っ!?」 「…まだ?」 「あっ、ごめんね…琉夏くん、綺麗だから見惚れちゃった…えへへ///」 「……なに言ってるんだか。美奈子のがずっとキレイだよ? …本当はずっとオマエの顔見てたいのに我慢してるんだ。だから、早くキスして?」 「う、うん…」 琉夏くんって時々、もの凄く恥ずかしいこと言うよね…うれしいけど、恥ずかしいから。人前では言わないでほしい。 改めて目を瞑る琉夏くんの唇に自分の唇を重ねた。 途端にムニュっとした感触と暖かさ…ほんの2〜3秒の短いキス。 唇と唇を離して、琉夏くんを見れば…なんか不機嫌そう…。 えっ、どうして!? 私、変なことしたのかな!? キス下手だったとか!!?? 「違う…」 「えっ?」 「今のはキスじゃなくてチューだ…キスっていうのは…」 「んっ!?」 後頭部を掴まれたと思った瞬間、再び唇に熱が戻った。 さっきと違うのは噛み付かれるように唇に吸い付かれ、それに驚いてわずかに開いた隙間から琉夏くんの熱い舌が私の口の仲に侵入してきたこと…。 思わず引っ込めてしまった舌は簡単に絡められ、室内には唾液が掻き混ぜられる微かな水温が響きだした。 歯列をなぞられ、上あごを擽られ…また舌に絡み付く琉夏くんの舌。 苦しい… 思わず、琉夏くんの胸板をドンドンと叩いて抗議。 離される唇と唇を透明な糸が繋いでいて恥ずかしくなる。 「どうかした?」 「ハァ…窒息するかと思った…」 「そういうときは鼻で息をするんだ。もう一回するから試してみ?」 「えっ? まだ…するの///」 「そう。俺、今キスしたくてたまらない気分だから。ほら、美奈子目閉じて? それとも……ガン見しながらベロチューしたい?」 首をブンブン横に振って、ギュッと目を閉じた。 そんな私に琉夏くんがクスクス笑ってる。 再び唇同士がくっついて、すぐ私の唇を舐めだした琉夏くんの熱い舌。 くすぐったさに少しだけ身をよじれば、今度は舌が唇をノックしてきた。 “開けて”の意味だよね? さっきみたいに少しだけ開けた隙間から入り込む舌。 自分以外の舌が口の中で勝手に動き回る感覚にはまだ慣れず、緊張から一気に酸素が足りなくなってきた。 教えてもらった通りに試しに鼻で呼吸してみたら…あっ、出来た!! そのまま、接着剤でくっつけたみたいに私たちは口を密着させたままに、大人の“キス”をしてる。 舌を絡ませ合って、唾液を飲み合って、想像以上に気持ちがいい…。 いつしか、琉夏くんの手は私の腰に回っていて、キツク抱きしめられていた。 私は自分の手をどうしようかと、さ迷わせた後に彼の背中に手を這わす。 シャツの肩甲骨あたりをクシャッと握れば、応えるように琉夏くんの力が強まった。 そのまま、寝転がるように促されて…ゴロンとしたままキスをし続ける。 抱き合って身体を密着させて、体中を撫でられて。 酸素不足からかトロンとしてくる意識の中…いつまで続くのかな?…と考えたのを見透かされたかの様に唇は離れた。 「はぁ……ヤバいな。そんなエッチな顔さられると我慢出来なくなっちゃう」 トロンとしたまま、苦笑する琉夏くんを見つめていたら彼は続ける。 「続きは家が完成して、オマエが引っ越してきた夜のお楽しみ♪」 カウントダウン …きっとその日は、あっという間に訪れることになるだろう。 少し怖くて…でも、とても待ち遠しい。 END 〜あとがき〜 うちのサイトには珍しい“我慢強くて理性のある琉夏くん”でした(笑) バンビが好きすぎて初めては我が家が完成してから、思いっきりロマンティックに致そうとしてる『夢見る琉夏くん』なのかな? バンビが好き過ぎて、「怖がらせたくないんだ…」とか言って、なかなか手を出せないってのも萌えますね。 で、どちらにせよ初夜の後は理性を失うんです。いつもバンビとヤりたい『盛った琉夏くん』に進化(?)します。 どうでもいい情報ですね。 里夏
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