朱が物語る愛の形 あぁもう…なんで、こうなんだよ!? せっかくの聖なるバレンタインなのに!! 朝、ちょっとだけ早めに起きて、美奈子を家まで迎えに行った。 事前連絡はナシのサプライズ!! * * * 昨日、ニーナから「この前美奈子さんがチョコ買ってたんだけどさ〜。なんか、それがマジパネェ量で〜」とかなんとか聞いた。 美奈子は俺がいつも飢えてんの知ってるから、きっと俺のために大量のチョコを用意してくれたに違いない!! * * * 弾む息を数回の深呼吸で落ち着かせて、インターホンを鳴らした…のが10分前の事。 「あら、琉夏くん。おはよう。せっかく迎えに来てくれたのにゴメンネ、美奈子もう学校行っちゃったのよ」 今日美奈子は日直だったらしい。 美奈子のお母さんからのそんなサプライズ発言を聞いた俺は挨拶も早々に、学校に走り出したのだ。 一刻も早く美奈子に会いたい!! 学校に着くなり、美奈子の教室を覗いた…いない。 ピンクブラウンの髪が見当たらない。 未練がましくキョロキョロしてたら 「キャ〜! ルカくん見付けた〜!!」 なんていうキンキン煩い声が響いて…あっという間にチョコ持った女子たちに囲まれた。 キャーキャーキャーキャー…何処からそんな声が出るんだよ? 耳痛いから塞ぎたい…さすがに失礼だからしないけど。 女子たちの猛攻とも思えるチョコ渡し攻撃から解放されたと同時に授業開始のチャイムがなった。 教室を見れば…いつの間に来たのか、美奈子は自分の席に座り、授業の準備をしていた。 教卓には、お早いことにすでに先生…遅かったか…。 ――――――― 授業終了のチャイムが鳴ったと同時に教室を飛び出て美奈子のクラスへ向かう…これで、もう三回目の行動だ。 一時間目の授業を終えて、駆け出したときは第二次チョコ渡し攻撃を喰らい、今度は美奈子を見掛けることすら叶わなかった。美奈子に会えないもどかしさも手伝い、二時間目は怠いからフケた。 屋上でダラダラしてたら寝てしまい、気付いたら授業は終わっていた。 しかも、休み時間終了3分前だった。 三時間目の休み時間にも美奈子の教室に行った…また、いない。ヤバい…俺泣きそう。 そう思いながら中庭に目を向けたら…いた!! 美奈子だ!! いた…不二山と一緒に…なんか楽しそうに話してる。 二人の様子を見てたら、すぐにニーナが来て三人でどこかに行っちゃった。 そして、今…三度目の正直を信じて、俺は教室を飛び出す!! ……やった!! 廊下の向こうから歩いて来るのは見間違えるはずのない愛しい美奈子だ! 階段前を通り過ぎて美奈子に手を振ろうとした、そのとき… 「こらぁ! 琉夏、見つけたぞぉ!!」 大声と共に大迫ちゃんが近くの教室から出て来た。 バッドタイミングにも程があるだろ!? そのまま、急旋回で階段を降りて大迫ちゃんから逃げる。 チラッと視界の端に映りこんだ美奈子が驚いてるのがわかった。 せっかく会えたのに…。 ――――――― その後も、美奈子がコウやカイチョー&セイちゃんと話してる姿を見つけたのに、ダッシュで駆け付けた頃には既に誰もいなくて…結局、美奈子には会えないまま無情にも放課後になってしまった。 どれだけ、本命チョコを貰おうと俺が欲しいのは美奈子のチョコだけだ…。それなのに美奈子に会うことさえ、まともに出来ないバレンタインなんて…最悪。 最悪の気分で帰ろうと俯きながら、校門を出たら…門の脇に美奈子がいた。俺を見つけて微笑む美奈子。 「よかった。今日はもう会えないかと思っちゃった」 …俺を待っててくれたの? ――――――― 「琉夏くん、これ…」 美奈子を自宅に送る途中にある公園。 美奈子から「ちょっと寄らない?」って誘われて、ベンチに並んで座ったら美奈子から綺麗にラッピングされた箱を渡された。 「はい、バレンタインチョコ」 「マジで?」 よく考えたら確実に美奈子にチョコを貰えると決まってた訳じゃなかった。貰えるとは思ってたけど。 「嫌だった?」 「違う! いる、死んでも食べる!!」 「よかった。琉夏くん、たくさん貰ってるから、もういらないかも…って心配だったの。今日は渡すタイミングもなかったし」 「俺さ、オマエから貰えたたのが一番嬉しいんだ。このチョコ一つには他のチョコが束になっても敵わない」 「もう、大袈裟だなぁ」 「ところで…これだけ?」 「え? 何が?」 「もっと食べるもの…アレ?? 」 「あぁ、ひょっとして大量の紙袋のチョコ?」 「あぁ…うん。ニーナがたくさん買ってるの見たって…」 「新名くん、見てたんだ。あれはね、いつも仲良くしてくれるみんなに配ったチョコなの。新名くんたちにもあげたし、 コウちゃんにもあげたの。コウちゃん、嫌そうな顔してたから、お家に帰れば琉夏くんにくれるんじゃないかな?」 美奈子からチョコ貰えたのに嫌そうな顔したんだ…コウの罰当たりめ。 「それって友チョコとか義理チョコ?」 「うん」 「じゃあ、これは? これは何チョコ?」 貰ったばかりのチョコを自分の顔の前に持ってきて上目遣いで美奈子を問いただす。 途端に朱に染まる美奈子の頬っぺた。 そんな様子が面白くて、可愛くて…思わず、ズイッと顔を近付けたら美奈子は恥ずかしさから目をギュッと瞑り、顔を俯けてしまった。 「美奈子…答えて?」 「あ、あの……〜〜もう、ヤダ! さっ、察してょ…」 そう尻窄みに言う様子を見ながら、音を立てずにベンチから下り、美奈子の前を跪いて…唇と唇を仲良しにさせてあげた。 驚いて目を見開く美奈子に下から「おとなしくして?」と目で伝える。 理解したのか、大人しく為すがままにされる美奈子の肩を掴んで、少しだけキスを深めてみる…。 美奈子が苦しそうにし始めたから口を解放してあげる。お互いを繋いだ唾液が途切れる様がイヤラシイな。 「察したよ?」 「うん…ありがとう?」 「ハハハ…疑問形だ。カワイイ」 更に顔を真っ赤にさせてワタワタする可愛い美奈子の手をとって自宅まで送る。 「今度のデートさ…帰りがちょっと遅くなるかもね?」 「なんで?」 「行き先変更。うちにおいで。コウは遅くまでいないから…二人で大人の階段昇っちゃお?」 「///っ!?」 「ちなみに、希望の下着はレースが付いてて、ピンクか白…あっ水色もいいな。カワイイ系でヨロシク。俺もカワイイの着とくから。な?」 朱が物語る愛の形 美奈子、もっと赤くなるかな? スゲー楽しみ♪ ↓↓オマケ 「コウ、チョコ頂戴♪」 「はぁ? 頭沸いたか? どうせ、チョコなんざ大量に貰ったんだろうが。それ喰ってろ」 「美奈子に貰っただろ?」 「…なんで知ってんだよ…」 「美奈子に聞いた。渡したら嫌そうな顔されたって…美奈子かわいそう」 「チッ。美奈子の奴…しゃべってんじゃねーよ」 「ほら、寄越せ。かわいそうなチョコは俺が喰ってやる。それと美奈子の悪口は俺が許さないからな?」 「へいへい」 「で、チョコはどこ?」 「…ねーよ…」 「…はっ?」 「だから、ねーよ!! さっき喰ったんだよ」 「なんで!?」 「あぁ…俺が貰ったモンをよ、俺が喰うのは当然だろうが?」 「コウのクセに!!」 「あぁっ!? 訳わかんねーイチャモンつけてんじゃねーぞ!!」 END 〜あとがき〜 「あまーーーーい!!」 そんな某芸人のツッコミが入りそうなベタベタ展開になりました。 何これ…私の頭は一足早くにお花畑になってたようです。 ついでに、この話のコウはバンビに好き状態。 好き状態の相手に義理チョコ贈るバンビ…酷いwwwでも、バンビは鈍感なだけです。このバンビは琉夏しか見えてませんから。 「あまーーーーい!!」 里夏
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