先輩 〜紺野と設楽と一緒ver〜 「恵方巻?」 「あぁ、その年の恵方…つまり吉とされてる方角を見ながら巻き寿司を食べる風習だよ」 「それくらい知ってるさ。馬鹿にしてるのか?」 「そういう訳じゃないよ。ただ美奈子さんから、今年は三人で恵方巻大会をやらないかって持ち掛けられてね」 「大会ってなんだよ? 早食い競争でもする気なのかアイツは?」 美奈子からの提案だった「みんなで集まって恵方巻大会をしませんか?」と。 おそらく“大会”に深い意味はないのだろう。 おもしろそうだと乗った紺野が、その計画を設楽に伝えに来たのだ。 「まぁ、いいんじゃないか? 当日は俺の家に来るように美奈子に伝えておいてくれ」 「自分で伝えたらどうだい? メールなら早いし」 「別にいいだろう!? とりあえず、寿司はうちのシェフに作らせる。どうせやるなら、最高の品でやった方が縁起がいいからな」 〜当日〜 「わぁ〜、凄い! 美味しそうですね!!」 「フッ、当たり前だ。最高級のネタだぞ?」 設楽は美奈子の嬉しそうな顔を見て得意げに語る。 「じゃあ、はじめようか? え〜っと、今年の恵方はどっちだったかな?」 「南南東ですよ」 三人揃って巻き寿司を手に、同じ方角を見つめてる…傍から見れば少し異様な光景だ。 モグモグ、むしゃむしゃ 「…ん、食べにくいな。おまえら、切らなくて平気か?」 「………………」 「…………………」 「…おい、無視か?」 「…………………」 「………………」 話し掛けてくる設楽を無視しするように食べ続ける紺野と美奈子。 設楽はブツブツと悪態をつきながら巻き寿司を食べることにした。 「…はぁ、美味しかった!!ごちそうさまでした。」 「ごちそうさま」 「俺を無視するほど美味かったのか?」 「あぁ、違うよ。恵方巻を食べてる間は喋っちゃいけないんだよ」 「……っ!? なんで教えてくれなかったんだよ!? 喋っちゃったじゃないか!!」「だって、教えたら僕たちも喋らないといけなくなるし…」 「ああもう!! もう一本食べればいいんだろ!?」 「先輩!?」 「設楽、むちゃ食いはよくないよ!!」 ―――――――「…キモチワルイ…」 「だから言ったのに…」 「…うるさい」 「はい。先輩、胃薬ですよ」 「今は何も胃に入れたくない…」 「呑まなきゃダメです!!」 END 〜あとがき〜 今回柔道部話が一番の難産でした。最後までUPしていいのか悩みましたが、当日になったので開き直ってUP。 大迫先生も出してみましたが…大迫先生が大迫先生じゃありませんね…たぶん、あれは大迫先生になりすました鬼です。 全体的にキャラが薄かったり、話が軽かったり…あと設楽先輩がアホな子な件もスミマセン。 里夏
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