壁 | 1/1page ![]() 画像大 目の前には大好きな郭淮がいて。 でも、その前に、薄いけど、絶対破れない壁があって。 壁の向こうで、壁にひっつくくらい近付いて。郭淮はいつものあの優しい笑みを浮かべて俺を見ている。 惚れた弱みか、世間一般には綺麗の基準には入らないだろう郭淮だけど、俺にとってはそれこそだれにも負けないくらい綺麗だと思う。 「夏侯覇殿」 声を掛けられて。俺も壁にひっつくくらいに近付く。まるで口付けしてるみたいだな、なんて言うと少し照れたように笑ってくれる郭淮。 だけど。俺と郭淮の間には絶対に破れない壁がある。どうすればこれ以上近づけるのか、俺にはわからない。郭淮は何か知っているような目で、俺をずっと見つめている。教える気はないみたいだ。 なぁ、郭淮。俺はどうすれば、お前に近づけるのかな。 お前は俺が夏侯淵の息子だから…… 「夏侯覇殿」 困ったように笑って、郭淮はまた俺を呼ぶ。その瞳には、俺しか映っていない。 ……ああ、なんだ。 やっと気付いた。ずっと、俺が父さんに引け目を感じて、壁を作っていたんだ。 ずっと、郭淮は俺だけを見ていてくれたのに。 な、郭淮。 俺が一歩踏み出せば、それで万事解決ってな。 覇淮Webアンソロに提出させていただきます。 身長差むつかしいです。 back |