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目の前には大好きな郭淮がいて。
でも、その前に、薄いけど、絶対破れない壁があって。
壁の向こうで、壁にひっつくくらい近付いて。郭淮はいつものあの優しい笑みを浮かべて俺を見ている。
惚れた弱みか、世間一般には綺麗の基準には入らないだろう郭淮だけど、俺にとってはそれこそだれにも負けないくらい綺麗だと思う。
「夏侯覇殿」
声を掛けられて。俺も壁にひっつくくらいに近付く。まるで口付けしてるみたいだな、なんて言うと少し照れたように笑ってくれる郭淮。
だけど。俺と郭淮の間には絶対に破れない壁がある。どうすればこれ以上近づけるのか、俺にはわからない。郭淮は何か知っているような目で、俺をずっと見つめている。教える気はないみたいだ。
なぁ、郭淮。俺はどうすれば、お前に近づけるのかな。
お前は俺が夏侯淵の息子だから……
「夏侯覇殿」
困ったように笑って、郭淮はまた俺を呼ぶ。その瞳には、俺しか映っていない。


……ああ、なんだ。
やっと気付いた。ずっと、俺が父さんに引け目を感じて、壁を作っていたんだ。
ずっと、郭淮は俺だけを見ていてくれたのに。
な、郭淮。
俺が一歩踏み出せば、それで万事解決ってな。




覇淮Webアンソロに提出させていただきます。

身長差むつかしいです。



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