「ジェイド!お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」
「…はい?」
仕事中に突然部屋に来た赤い髪の少年の声で顔を上げたジェイドは訝しげに眉をひそめた。
彼の頭には小さな角らしき物体、おまけにズボンには黒い尻尾らしき物がついているのも見える。
「ああ、クッキーならありますよ。どうぞ」
「え?あ、ありがとう…」
戸惑ったようにクッキーを受けとった少年は肩を落として出ていった。
心なしか尻尾もしょんぼりしているように見える。
「何だったんでしょうか?」
少年が出ていった数分後。
「ジェイドの旦那〜。お菓子くれないと悪戯するぜ?」
「今度は貴方ですか…」
次に現れた青年は、黒いローブを羽織り、大きな鎌を持っていた。
「あれ?もしかして俺様の他に誰か来た?」
「ええ、先程ルークが来ましたよ」
「しまった…俺様としたことが出遅れた…」
先程と違う意味で肩を落とす彼に対してジェイドは軽く首を傾げて疑問をなげかけた。
「今日何かありましたか?」
「へ?しらねーの?ジェイドの旦那。今日はハロウィンだぜ?ちなみに俺様は死神様〜」
「…ああ。どうりでいつもより騒がしいと」
納得した様子のジェイドを見て、青年はニヤリと口角をあげた。
「そういえばさっきの返事、まだもらってな「はい。飴どうぞ。それと私はまだ仕事がありますので帰って下さいねー」
「は?ちょ…!」
半ば追い出すように青年を部屋から押し出したジェイドは一つため息をついた。
「ジェイド。お菓子くれないと悪戯するぜ?」
「貴方までですか…」
目の前の青年を見て呆れたような表情を浮かべるジェイド。
青年の格好は頭には髪と同じ色の尖った耳が付き、黒いふさふさした尻尾を生やした狼のような姿だ。
ただ一つ他と違うのは両腕いっぱいに甘そうなお菓子を抱えていることくらいか。
「まあな。で?あんたは何をくれるんだ?」
楽しげに目を細める青年。
「困りましたね。先程手持ちの物は全てあげてしまいました」
それに対し、全く困っていない笑みを浮かべて答えたジェイド。
「…あと少しで仕事が終わります」
「お?」
「その後でしたら…好きにして構いませんよ?」
「了解」
予想外の返事をもらった青年は目に狼のような光を宿してどんな悪戯をするか考え始めた。
お菓子か?悪戯か?
どちらもきっと甘いでしょう
このあときっと喰われます。
そして大佐はなんか細々お菓子持ってそうなイメージ。