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赤の一人称が僕。何だかわからないパロ。


嗚呼、そういえばグリーンが死ぬのっていつだっけ、と本気で問えば嫌そうな顔を向けられた。そういうおまえは、と無愛想にグリーンは僕にそう投げかけてきたから僕はグリーンが死んだあと、と答える。グリーンはあっそ、と興味なさそうに呟いて雨漏りのせいで出来た小さな水溜りに目を落とした。逃げないの。聞くとグリーンは面倒なやつだな。と言い、どうやって逃げんだよ、と言った。どうやって逃げるのか。まあ確かに難しい問題だね。だって僕たちは檻の中に囚われてるんだから。必要な時にだけ外に出され、後は檻の中。僕たちは人殺しの道具でしかない。その事実を足に繋がれた鎖が床に擦れ合い、音を出す事で良く教えてくれた。
「グリーンは、今度いつ出されるの」
「…明日」
「じゃあ、明日死んじゃうかもしれないんだ」
「うるせーな。少し黙ってろよ」
僕はくすくす笑って冗談だよ、と言う。おまえが言うと冗談に聞こえねーよ、と少しだけ笑いながらグリーンは言った。死なないでね、と言えば死なねーよ。と返ってくる。でも分かっていた。明日、グリーンが死んじゃうんじゃないかって事。今までにないハードな仕事だって前偉い人が話していたの、聞こえたから。
「ねえ、グリーン。明日無事に帰ってこれたら言いたい事、あるんだ」
「…今話せばいいじゃねーか」
「ううん。明日。ね、気になるなら無事に帰ってきて」
僕は卑怯なやつだ。グリーンが生きて帰ってこれないっていうのを分かってるのに、明日言うだなんて。グリーンは首を傾げて不思議なやつ、と呟いた。その声は嬉しそうだった。

結局グリーンは僕の予想通り、死んだ。僕は檻の中で一人になった。今度は僕の番かな、と自嘲気味に笑うと僕たちが逃げ出さないように見張っている人が檻越しに言った。グリーンの首、見つかってないらしいよ。その人は優しい人だと思った。だって僕を哀れむような目で見ていたから。グリーン、結局僕は君に言う事が出来なかったね。昨日、グリーンが見つめていた小さな水溜りは蒸発してもうなかった。それがグリーンがこの世から消えた、という事を示しているみたいで何だか気持ち悪かった。


「なあ、シルバー」「…何だ」「レッドさんとグリーンさん、いるだろ?」「……ああ。でもグリーンさんは死んだ」「そうそう。レッドさんも昨日行って帰ってこないからきっと死んだんだろうな」「それがどうした」「二人の首、見つかってないんだって」「首だけ?」「ああ。身体は見つかったらしいんだけど」「…幸せに、なって欲しい」「それもそうだな。でさあ、その身体、密着してたらしいぜ」「………」

グリーン。君の事が、すきです。

(とある人し道具の恋愛)