pkmn | ナノ

微妙に「君の全てがすき」の続き。傷舐め注意。


面倒な事になった。帽子を深くかぶろうとして額あたりに手をやると、掴んだのは空気でついさっき帽子を脱いだ事を思い出した。嗚呼、面倒な事になった。救いのピカチュウも今はグリーンのイーブイと仲良く外に遊びに行ったし、他の皆はポケモンセンターに預けてきてしまった。そう考えていると首に顔を埋めていたグリーンが動き、少しの痛みが感じられた。今度は何、足を舐めるんじゃなくて傷を舐めるの。そう聞くとグリーンが消毒しなきゃ治らないだろ、と呟いた。息が、くすぐったい。こんなところに傷を付けるんじゃなかった…と言ってもこの傷の原因はピカチュウで、ピカチュウは全然悪くない。俺の方に乗っていたピカチュウがお腹が空いた、という意思表示に俺の首を噛んだのがそもそもの原因で、誰も悪くない。意外と傷は深くて、血が多量に流れたのは記憶に新しい。久し振りにシロガネ山から下りてグリーンのところにいけば第一声がおまえその傷どうしたんだよ、だった。お帰り、とか色々あるだろうに。

「…痛いんだけど。それに治りかけてるし」
「幾らピカチュウだからって腹立つんだよ。傷付けられるとさ」
「……大人気ない」
「そういうもんなの」

生温いものが這って思わず俺は息を吐いた。何度されてもこの感触には慣れない。おかまいなしに傷に舌を這わせているグリーンにやめろ、と言うと別にいいじゃん、と言って噛みついた。何してるの。

「…グリーン」
「ん。ま、これで大丈夫じゃねーか?」

グリーンが俺の首から口を離すと空気が触れて濡れた部分が冷たく感じられた。気持ち悪いなあ。タオルちょうだい、と言うと汚くねーって、と言って渡さない、と遠まわしに言いやがった。家に帰ったら思いきり拭こう。そう思いながら家の外で遊んでいるピカチュウを久し振りの大声で呼び、十万ボルト、と指示を出したのとグリーンの悪かったって!、と青ざめた顔で叫んだのはほぼ同時だった。

(彼は配しただけ)


▼えろいのは書けませんでしたこれが精一杯です。こう、えろいオチが書きたい。


- ナノ -