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学パロ設定。


今日も一日寝ないで授業受けれたな、と思いながら背凭れに背を預けて伸びた。少々ぽき、という音がするけど気にしない。どうせ急激に背筋を伸ばしたから今まで丸まっていた背が悲鳴をあげたというところだろう。クラスメイトの鞄に必要なものだけ詰めて帰る姿を意味もなく見ていたら女子たちが窓越しに外を見てあの人格好良いね、と話していた。青春だな、と俺は思う。そういえばあの女子たち、少し前にも惚れたとか何だとか騒いでいた気がする。その人を見て言ったのか、それともまた違う人を見つけて格好良いと言ったのか。何にせよこの女子たちは尻軽になるんじゃないだろうか。将来は水商売決定かもしれない。そんな事を考えていると一緒の空間にいるのも嫌になって机の中にあるものを全部鞄に詰め込み(他のやつらと違って俺偉いと思う)、肩にかけて椅子から立ち上がった。床に擦れ合う音がとても不快だ。廊下を歩くと色んな人が口々にあいつ、隣の高校のやつだろ、とかあれってオーキド博士の孫らしいじゃん、とか聞こえてきた。…グリーンか。女子たちが騒ぐのも頷けるかもしれない。今日はあっちの方が早く終わったんだな、と思いながら綺麗に靴を履いて外に出ると俺を見つけたグリーンが(校門から昇降口までって凄く距離あるのによく見えるよね)走って俺のところに来て遅いんだよ馬鹿、と頭を軽く叩いた。

「…ごめん」
「いや、別にいいんだけどな。帰ろうぜ」

にっこり、と笑ったグリーンにうん、と一言だけ呟いて一緒に並んで歩く。隣を歩いてると当たり前のように俺にも視線が集まるわけだ。あいつ、誰?、あんなやついたっけか。…だろうね。俺、目立たないから。黙って歩いてるとグリーンが苦笑いしておまえやっぱり空気じゃねーか。と言った。まあね、そう言うと否定しろよ、とまた苦笑い。

「ま、その方が俺としてもいいんだけど」
「人が空気でいる方がいいって…グリーン、酷い人だね」
「いやいや、そうじゃなくて」

慌てたように手を振ってそうすればおまえは俺だけのものじゃん?気ぃ悪くするなよ、と言う。…焦ってるの見るの、面白い。つい笑ってしまうとグリーンが何なんだよおまえ、と少し怒ったように言い、そっぽを向いた。今度は俺は謝る番だ。ごめん、と言うとおまえらしくねー、と笑いながら頭を掻きまわす。

「皆見てるけど」
「…忘れてた」

気まずそうに頬をかいて、俺も気まずくなって苦笑いすると開き直ったグリーンも声を出して笑った。後ろからレッド先輩、と呼ぶ声とグリーンの嫌そうな顔を見てこういう風に目立つのもいいかもしれない、と思ったのはいけない事だろうか。ゴールドがグリーンに抱きついて俺が引き剥がすまであと何秒だろう。

(手を繋いでろうか)


▼緑と赤が高校違うのって萌えるよねっていう話。ただそれだけ。


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