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緑赤というかピカチュウとイーブイ。


ピカチュウと会うのは久し振りだな、って思った。思いながらピカチュウの主人…赤い人の事を何か言いながら寒そうにしているご主人に頬を擦り寄せれば嬉しそうに笑って撫でてくれる。雪が吹雪いてるこの中、ピカチュウは良くいられるなあ。会う度、寒そうにボクに抱きついてくる彼を思い出したら実は平気じゃないのかもしれない、と思って何だか可笑しくなる。平気なのは赤い人だけでピカチュウは本当は家に帰りたいのかもしれない。聞いてみよう。

「あ!また半袖でいやがる。あれほど言ったのに。なあ?イーブイ」

真っ白な世界の中、ご主人は赤い人を見つけたらしい。確かに半袖でいるっていうのは凄いと思ってボクはそうだね、と鳴いた。ボクたちに気付いたのはピカチュウで、赤い人に向かってグリーンが来たよ、と鳴く。ボクはグリーンの肩から飛び降りてピカチュウの元に走った。

久し振り!相変わらず寒そうだね。 うん、久し振り!そうなんだよ寒いんだよー。レッドは山から下りてくれそうにないしさあ。 君も大変だねえ。 そう言ってくれるのイーブイしかいないよお。

久し振りの再開にさっきご主人にしたみたいに頬を擦り寄せるとピカチュウも擦り寄せてきてくれた。ちら、とご主人の方を見れば少しだけ声を荒げて赤い人に何かを言っている。あんなご主人、見れるのはこういう時しかないんだよね。

まだピカチュウは負けてないの? うん。 君の主人は負けたら降りるんだよね? もしそうだったらいつになるか…。 もしかしたらずっとここにいるかもよ。 勘弁勘弁!グリーン、今日こそは説得してくれないかなあ。 君の主人も頑固だからねえ。 本当、困った主人だよ。頑固だし、素直じゃないし。 それを言ったらボクのご主人もだよ。素直になればいいのに。 うんうん。イーブイの言う通りさ!あの二人、キスしかしたことないんだってよ。 ピカチュウ聞いたの? レッドが自分から僕に相談してきたんだ。どっちも意気地なしってやつだよね。 ボクのご主人もよく言ってくるんだよね。押し倒せばいいのに。 わー!イーブイはれんち! そういう君もだろ!

少し声が大きくなってしまって今まで説教をしていたご主人も赤い人も驚いてボクたちの方を見る。赤い人がボクたちのほうに近寄ってきて喧嘩はしちゃ、だめ。って言った。喧嘩じゃないよ!ご主人たちがなかなか先に進んでくれないからボクたちが苦労してるんじゃないか。そう言うとやっぱり言葉は通じないようで頭を撫でられた。

ねえ、イーブイ。 何だい、ピカチュウ。 押し倒した後ってどうするんだろうね。 ……キスの次って何だろう。 ね、僕たちは分からないよ。 うーん、とにかく愛し合うんだよ! て事は愛してるって言う事かなあ? それじゃあ普段と変わりないって。 それじゃあ、何だろう。

首を傾げてねー?、とお互いで顔を見合わせるといつの間にいたのかリザードンさんが後ろにいて、僕は少し驚いた。ピカチュウはいつも一緒にいるだけあって、よ!と片手をあげて挨拶をしている。

おまえたちはまだ知らなくていい。 えー、何でー? リザードンさんは知ってるの? …まあ、な。 リザードン教えろよー。 教えて教えて! もう少し大人になってからだ。 ちぇー。自分だけ進化してるからってー。なあ、イーブイ? ね、ピカチュウ。教えて下さいー!

僕たち二人して駄々をこねるとリザードンさんは困ったように溜息を吐いて、いつかな、と言った。わああ格好良いなあ!ご主人たちが気になってそっちを見ると赤い人がマフラーを巻いてご主人に手を引かれて僕たちの方に向かってきた。

「よし、帰るぞ!」
やっとレッドが下山する気になったんだね! よかったね、ピカチュウ!
「…リザードン、お願い」

リザードンさんが面倒そうにまた溜息を吐いた。僕は二人も乗れるのかな、と思ったけどリザードンさんは強いから大丈夫なんだよね、と思う事にした。ご主人ってば赤い人を説得出来たのが余程嬉しかったのか僕をいつも以上に強く抱きしめてくれた。赤い人はやっぱり無表情だった。


(苦労性な匹)


▼前に書いてみたいなあ、とか思っていたらリクエストしてくれた方がいたので書いてみまし、た…!文才が欲しいです。


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