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義兄弟設定で赤が兄、緑が弟。


「おいレッド起きやがれ!」

レッドの身体に纏わりつくシーツを思いきり引き剥がすとレッドの不機嫌そうな声と共にパンチが飛んできて俺はそれを避けた。次は足あたりが飛んでくるだろうと読んでシーツを掴んでいた手を腹あたりに持っていき、ガード体制に入るとその瞬間に俺の読み通りの、まともに食らったらヤバイであろう蹴りが飛んでくる。少しばかり腕が痛むがそんな事気にしてられない。次は何だ。パンチか、蹴りか。そう思ってどちらでも受け流せる体制をとるとレッドがシーツを蹴りあげたせいで目の前が真っ白になる。これはやばい!思って顔だけは守ろうと思い腕を交差させた。空気を裂く音がして、レッドの回し蹴りが俺の横面にヒットしそうな時だった。動きが止まって少なからず俺は安堵する。

「…何だ、グリーンか」
「おっまえなあ!攻撃を仕掛けるのはちゃんと確認してからって言ってるだろ!毎度毎度俺の命が危ねえんだよ!」
「……慣れて」
「無理」

取り敢えず起きろよ、とレッドを促すと今度は素直に頷いてベッドから抜けだした。本当こいつって危ない野郎だ。俺がこいつと暮らし始めたのは…本当に小さい頃だったな。その頃からのこいつの癖、未だになおってねえんだ。起こしにきたやつを取り敢えず殴る。初めてこいつを起こした時は俺だって驚きと痛さで泣いたもんだ。何たって思いきり振りかぶったパンチを顔面で受けたんだからな。今思い出すだけで痛いぜ。まあ、そんな俺も長年こいつと暮らしてきて学んだわけでさ、今じゃあすっかりレッドのおかげで喧嘩が強くなったわけだ。無駄な成長したよな、俺。

「…今日、母さんたち帰ってくるんだっけ」
「そうそう。だからちゃんと起きてねーと怒られるぞ」
「うん。……グリーン、服」
「いい加減自分で着替えろよ。別にいいけど」

こいつの着替え、いつも俺がやってるんだ。幾ら兄弟だからって言っても普通ねーよなあ。血縁関係はないわけだし。それでもボタン外して腕を上に挙げさせて服着せてやってる俺って何なんだろう。こんなのが兄だなんて、俺もうやだ。

「グリーン」
「…なんだよ」
「ありがと」

くしゃ、とレッドが俺の頭を撫でる。不意打ちってずりーだろこの野郎。照れ隠しに別に、と言って胸倉を掴んみ引き寄せて軽いキスをすると優しく笑って明日からは出来ないね、と言った。あ、そうか。明日の朝には母さんたちいるんだ。あー、もう何かなあ。

「ねえグリーン。今日の夜、部屋行っていい?」
「おまえの頭の中ポケモンとそれしか考えてねーんだろ」
「そういうふうにしたの、グリーンだけどね」

今日は手加減出来そうにねーな。自重気味に笑うとレッドが母さんたち、明日まで帰ってこなきゃいいのにね、と親不孝者が言いそうな事を普通に言いやがった。俺もそう思った、なんて言ったらこいつはまた調子に乗るだろうか。

(きっと同じ事をっているんだろう)


▼5000打企画…って本気で遅くなりましたすいません!二人とも偽物っていうあれもすいません!


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