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幼い頃の緑と赤。


触れていた唇を離すと自然と肩が上下した。あれ。今何秒唇を触れ合わせたっけ。レッドの肩に手を置いたままそう聞くとレッドはわかんない、と無表情に、まるで機械のように喋った。うーん、とおれが首を傾けるとレッドも真似して首を傾ける。真似すんなよ、って言ったらレッドが意味もなく今のってキスって言うんだよ、とか何だとか言った。

「きす?口と口を触れ合わせる事キスっていうのか」
「うん。お母さんから聞いたんだ。あとね、ちゅーって言うらしいよ」
「ふーん。一つの呼び方に統一すればいいのにな!」

何かが違うんだよきっと。ふわり、とレッドが笑って何でだか知らねーけどおれは顔が熱いと感じた。あっついあっつい。

「グリーン、顔真っ赤」
「うるせー!…なあレッド、きすしていい?」
「…いいんじゃない?」
「何でおれに聞くんだよ」
「じゃあ、いいよ」

じゃあ、するぞ。レッドの肩に置いた手に力を込めればレッドも手を握り締めた。後少しで口が触れ合うって時、レッドと目が合って急に恥ずかしくなる。

「な、なあ。目閉じねえ?」
「いいけど」
「…閉じろよ」
「グリーンが最初に閉じてよ」

熱さで水がなくなるようにおれの身体の中にある水分も一気になくなった気がした。レッドも同じようで、おれみたいに顔が真っ赤だ。

「…ねえグリーン」
「なんだよ」
「キスって男の人と女の人がするものなんだってよ」
「え」

おれたちって男じゃん。そう言うとそうだね、とレッドは目を逸らした。何だよ知ってたのかよ、と問い詰めるとレッドは恥ずかしそうに、

「だってグリーンとしたかったんだもん」

可愛いなとか思ったり。おれも恥ずかしくなってレッドから目を逸らせばレッドの意気地なし、と呟きが聞こえた。な、なんだよ意気地なしって!

「じゃあ、じゃあ、するぞ!」
「……うん」

目を瞑って待ってるレッドを見たおれは結局その可愛さに出来ませんでした。ああもうぎゅーってしたい!

キスをしたいと彼は言った)


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