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僕は愛してるって言われるのが嫌い。



嘘吐き。今はそんなこと言っていたって、どうせいつか僕のこと捨てるくせに。知ってるんだよ、18歳の誕生日を迎えた君のところにお見合い話がたくさん来てること。



愛してる、って囁かれるたびに僕の心はキシキシと音をたてて軋む。嘘吐き!嘘吐き!!グリーンなんか大嫌いだ。

その言葉を言われたぶんだけ、彼と離れたとき自分が悲しさに耐えられなくなるのを僕は知ってる。その言葉を信じたぶんだけ、彼を失ったとき自分が惨めで仕方なくなることを僕はわかってるから。だから信じない。優しい睦言は、耳を塞いで聞こえないふりをする。



いつか、きっとそう遠くない未来。

グリーンは僕を捨てて、彼に似合いの可愛らしい働き者のお嫁さんを迎えて、幸せな家庭を築くんだろうね。僕は彼にお幸せにね、と言って笑って手を振って送り出さないといけないんだ。未来のお嫁さんの元へ。そうなることも知っているし、そうしなくちゃいけないこともわかっているのに、この胸いっぱいに広がる黒いもやもやは何なんだろう。真っ黒でドロドロしたこの汚い感情でいっぱいになっている自分が一番嫌い。こんな僕がグリーンに愛してもらえるはずないのにね。





本当は。





愛してる、って言いたい。好きだよ、大好き、離さないでって言って縋り付きたい。だって僕は彼が愛しくて恋しくてもう気が狂いそうになるくらい。だけど言えない。言ってしまったら最後だから。僕は本当にグリーンから離れられなくなってしまう。もうこれ以上彼のことを好きになったら僕は壊れてしまう。彼の幸せな未来まで壊してしまう。だからこれは僕の精一杯の自己防衛策。



グリーン、あいしてるよ、と。

言えずにのみこんだあいのことばは、今日も静かに僕の胸の奥底に積もっていく。







幸せな縊死







レッドは多分、おれに「愛してる」って言われるのが心底嫌い。その言葉を口にすると、必ず眉を顰めるからすぐわかる。まあ例のごとく表情の少ない奴だからわかりにくいけれど、おれにはわかるよ。嫌いなんだよな?なあ、レッド。





でも残念、おれは「愛してる」っていうのはやめないぜ?





お前がおれのこと信じてないのはずっと前からよーく知ってる。最近になって舞い込んでくる見合い話に心を痛めてるのも知ってる。今は片っぱしから断って回ってるけど、いつかおれがその話を受けるんじゃないかって、不安に思ってるのも。



おれは全部、知ってるよ。お前のことをわからないはずがないだろ?心外だなあ、おれが好きなのは後にも先にもずっと永遠にレッドひとりだけなんだから。お前は疑ってるみたいだけど、おれは嘘はつかない。



ああ、可愛い可愛いおれのレッド。

お前がおれから逃げないように、真綿で首を絞めるようにあいしてるって囁き続けるよ。この言葉がおれとお前を繋ぐ鎖だよ。小指に繋いだ綺麗な鎖。お前がおれに愛してるって言われるたびに、少しづつきつくなる。・・・ほら、もう外れない。



おっと誤解がないように言っておくけどな。おれはいつだって100%純粋な愛をこめて言ってるんだぜ、「愛してる」って。この気持ちは愛以外の何物でもないよな、レッドはおれのもの。おれはレッドのもの。



あいしてるよ、レッド。お前とおれは運命なんだから。絶対に離してなんかやらない。













(ああきっと、君に溺れて死んだ僕は、天国へは行けない)


▼ねじこ様(lilith!)より頂きました少し暗めの初代!そうか分かった。ねじこ様はわたしを萌え殺す気なんだな!レッドさんもグリーンさんも凄く可愛いです^^ こんなに素晴らしいものを有り難うございます!これからも仲良くしてやって下さいませ。相互有り難うございました!


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