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人ってさ、死ぬのは誰でも怖いと思うんだ。グリーンの言葉に俺はそうだね、とだけ相槌を打った。そうするとグリーンはおまえ俺の話聞いてたかよ、と苦笑いをしながら俺の頭を掻きまわす。死ぬのが怖い。死は恐怖の象徴。何が怖いのかって聞かれたら俺は困るけど、取り敢えず普通の人は怖いと思うんだろうか。

「グリーンも、怖いの」
「あー、どうだろうな。死に方による」
「どれだったら怖くない?」
「楽に死ねるなら怖くない。老死とかいいかも」

苦しまずに死ねるのが一番いい。グリーンはそう考えているんだね。俺とは少し違うな。俺は、

「俺が生きているうちにビッグクランチが起きてくれればいい」
「ビッグクランチ…予測される宇宙の終焉の一形態の事か」
「そう。俺はね、皆で一点に集まって死にたい。本当はグリーンとならそれでいいんだけど」
「…嬉しい事言ってくれるじゃねーか」

ありがと。一言だけ呟いてグリーンはまた、俺の頭を掻きまわした。ビッグクランチ。すなわちそれは宇宙にある全ての物質と時空は無次元の特異点に収束するということ。俺が言うのも何だけど、一人は寂しい。常に俺は誰かと一緒にいたいのかもしれない。だからね、グリーン。俺は死ぬのは怖くないよ。例え一人で死んだとしてもいつかはグリーンと一緒になるって事を考えると、とても嬉しくなるから。

(圧縮されてねるのなら)

君と一つになって死ねるのなら、それでもいい。


▼ビッグクランチがおこると一人では死なずに済むと思います。


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