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ひたり。硝子に手を添えると何ともいえない冷たさが感じられた。外を見ると雪が少しだけ降ってきているのか見える。ああ、もう冬なんだな。ベッドに目をやれば気持ち良さそうに眠っているレッドがいた。その隣でピカチュウと俺のイーブイも寝ている。何だかそれがとても微笑ましくて俺は笑った。まだ太陽が出ていなくて、光が差し込んでこないだけでとても寒く感じられたから俺はレッドを起こさないように静かにベッドに戻る。ギシ、とベッドが軋む音が聞こえてヤベ、と思ったのも束の間、聴覚が異常に良いレッドは目を覚ました。

「…おはよう」
「まだ朝じゃねーし。もうちょっと寝てろよ」
「んー……」

たどたどしい手つきでレッドがシーツを引き寄せればピカチュウとイーブイが驚いて飛び起きる。だから俺は頭を撫でながら大丈夫、おやすみ、と言えば安心した表情でシーツの隙間に入り、再び丸くなって寝始めた。

「ねえ、雪ふってるの」
「おー。降ってるぜ。良く分かったな」
「…肌寒い、から」

顔を俺の方には向けずにレッドは小さく呟く。毛布持ってきてやろうか、と聞けばいらない、と面倒そうな声で返してきた。珍しく早起き出来たしボール磨きでもするか、と思いながらドアノブに手を掛ければレッドが飛び起きた。また驚いて起きたピカチュウとイーブイが文句をたれそうな顔をしていたから俺もつい笑ってしまう。

「どうした?」
「グリーンも。グリーンも寝よう」
「何、安心しないってか?」
「…うん。だからはやく」

珍しい事はこうも続くものなのか。驚くぐらい素直なレッドの頭を撫でると細い腕で抱きついてくる。だから俺も背中を優しく叩いてやれば嬉しそうに笑った。そのまま勢いをつけて横になるとレッドの寝息が聞こえてくる。寝るの早いなあ、なんて考えながら寒さを感じたから腕に力を込めると暖かくなった。寒いと人間って人と触れ合おうとするから幸せに思えるんだな。これからもっと寒くなるだろう。それでもこうやって幸せな気持ちなれるのなら、それも悪くない。レッドの寝息と、ピカチュウとイーブイの可愛らしい寝言を子守り唄にして俺も目を閉じた。

(寒さを幸せの象だと言った)


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