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誕生日おめでとう。そう後ろから声が聞こえてレッドがそんな事いうの珍しいな、とかそういえば俺今日誕生日だったっけか、とか色んな事を考えながら後ろを向くとそこにいたのは笑顔のレッド、と目の前に迫ってるケーキ、ってはあ?!

ぐしょ、と綺麗に潰れた音を出したケーキは今まさに俺の顔にひっついてベトベトにしている。暫く今の現状を理解できなくて口を開けていたんだけど、開いた口に甘いケーキの塊が丁度良く侵入してきたもんだから俺は現実に戻された。気付けばレッドは微笑していて、可愛いなあこんちくしょう。じゃなくてだな!

「てめー、何しやがるレッド!」
「ケーキ、あげようと思って」
「何かおまえ間違ってんだよ!方法ってもんがあんだろうが!」

半ば叫ぶようにしてレッドに言うと首を横に傾けて何で怒鳴られなきゃならないんだ、という顔をした。こいつ、常識通じないやつだった…!

「おまえさあ、やったのが俺だったからいいものの、他の人にやったら…」
「グリーン」
「あ?人が話してる時は最後まで聞けっていつも言ってるだろ」
「誕生日おめでとう」

え、このタイミング?それには俺もつい拍子抜けしちまってさんきゅ、なんて言っちまった。完全にレッドの流れだ。まあ、それも無理はねーよな、なんて自分で自分をフォロー。だってさ、凄く嬉しそうに言うんだぜ?流されるのも無理ねーよ。

「生まれてきてくれて、ありがとう」
「あ、ああ。どういたしまして」
「…ずっと一緒にいてね」

レッドが俺の手をとって少し強く握るもんだから何だかそれが嬉しくなって俺も握り返した。またレッドは微笑して、顔、洗ってきなよ。と言い放つ。誰のせいだと思ってんだ!そう叫びたくなるのを堪えて何だか自分が間抜けに思えて笑うとレッドも声をあげて笑った。久し振りに声をあげて笑うレッドを見てもしかしたらこれが誕生日プレゼントなのかも、なんて勝手に思い込んで後でケーキ買いに行こうな、って言ったらグリーンの作ったカレーが食べたいな、とか少し控えめにいうからそれに弱い俺はいいぜ、って言ってしまった。これじゃあ、どっちが誕生日か分かんねーな。それが一番丁度いいのかもしれないけど。おまえこそ、俺とずっと一緒にいてくれよな。繋いだ手から伝わる少し冷たい温度がやけに気持ち良かった。

(微で完璧なこの関係)


▼11月22日。グリーンHappy Birth Day!初代で許して下さい。


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