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地面に染みをつくった透明な雫をぼやけて見える目で他人事のように見た。それを見ているうちにも一つ一つ落ちていく。嗚呼、また死ねなかった。手を強く握ると同時に嗚咽が洩れた。どうして俺だけ死ねないの。膝から力が抜けて崩れ落ちる。無意識に真っ赤に染まっている両手を見て腹部の痛みが蘇った。グリーンにあいたい。俺が生涯で一番愛したことになるであろう、グリーンに会いたい!俺の居場所を奪わないで、と空に泣く。ああでもグリーンを亡くしたのは他でもない俺自身じゃないか。これは、俺の精一杯のグリーンへの愛。不器用な俺は薄っぺらい愛という言葉をこの行為でしか示せなかった。グリーンだったらもっとマシな方法で示せたのかもしれないね。自分勝手でごめんね、グリーン。俺もすぐに後を追いたかったんだよ。だけどね、死ねないんだ。グリーンがおまえはまだ死んじゃだめだ、って俺の耳元で囁くんだ。グリーンの元にいかせてよ。俺はグリーンがいなきゃ存在として成り立たないんだから。俺のしたことは間違いじゃない、ってグリーンは言った。だけど皆俺を殺人者だって言うんだよ。俺はグリーンを愛してるだけなのに。グリーンも俺のことを愛してるからそれを許したのに。誰も信じてくれない。これは、愛だ。俺とグリーンの偉大なる愛。俺を連れていって。生きるとかそんなの関係無しに、連れていって。俺を、静かな暗闇が待ってる黄昏の国で永遠に愛でてよ。

(グランド・モーレ)

偉大なる愛は人をも亡くす。


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