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レッドさんとグリーンさんは仲が良い。まあそれも当然と言えば当然なのだが、ああいういちゃいちゃするのは人がいないところでやって欲しい、というのが俺の本音だ。そりゃあまたレッドさんとバトルをしにきて、そしたら俺が倒したトキワのジムリーダーがレッドさんにべったりで、満更でもなさそうなレッドさんがいて、何て言うか…勘弁してくれよ。俺の事なんて視界に入っていないかのような二人に俺は溜め息を吐きたくなる。おいおい、最強の人たちがそれでいいのかよ。まるで俺が邪魔しに来てるみたいじゃないか。

「あのー、レッドさんバトルしにきましたー」
「だからな、レッド!いい加減降りてきてほしいんだよ俺は!食料持ってくるの、結構辛いんだぜ?」
「…グリーンは、おれの事嫌いなの?おれの為だったら何でもしてくれるって言ったよね…?」

人の話なんか聞いちゃいねえ!思わず叫びそうになったのを堪えて俺は仕方なくレッドさんとグリーンさんのやりとりを聞く事にした。こうして聞いてみれば母親と子供だよなあ。いや、彼氏と彼女?うーん、分かんねーや。何も考えずに暫く二人を見ていたが俺に気付く気配は一向にない。俺は二人に近寄る事にした。

「あのー!」
「誰だよ、ってあれ。ゴールドじゃん」
「……バトル?」
「はい!そうです!バトルしにきましたよ!」

やっと気付いてもらえたのが俺は嬉しくて笑うとレッドさんが申し訳なさそうに帽子をかぶりなおしながら言葉を放った。今日は、バトルするなってグリーンに言われてるから…。…うん?何だそれ。意味が分からなくて立ちつくしているとグリーンさんが俺を追い払うかのように手を振って、というわけだから帰って一人で特訓してろ、と言う。

「レッドは今日一日、俺のだから」
「…ごめん、ゴールド」

得意気に言うツンツンした頭の人と、申し訳なさそうに言うレッドさん。何だこの人たち相当お互いの事好きなんだ。俺は一生懸命頂上まで来た苦労が一気に台無しになったと思う。もう一度二人を見ると二人の世界に入っていてもう俺の事なんか目に入っていないようだった。ああ、今日は最悪だよバクフーン。ボールから哀れみの視線が向けられているような気がして俺は家に戻る事にする。背後からウニ頭の声が聞こえて俺は歯ぎしりをしたのだった。

を優先する人たち)


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