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グリーンってさ。こういう事、好きでしょ?
艶やかに笑ってみせたレッドは細くて白い綺麗な指で顔の輪郭をなぞった。少しくすぐったい。好きっていうかさ、罪悪感?うーん、ちょっと違うな。背徳感、かな。それを感じるのが楽しいっていうだけなんだけど。まあ、別にそんなに変わらねーよな。その行為はやってはいけない事だと神は言った。そんなの俺にとっちゃあンなもん知るか、の一言で片付けられるほど薄っぺらくてとても軽い決まりごと。レッドを抱いてる時って結構罪の意識的なものだってあるんだぜ?稀に吐き気に襲われたりするんだけどさ、好きだから、レッドが好きだからそれも堪えて続けるわけなんだけど。結局俺が好きなのは法に背いているって事を理解しながらそういう事を続けるのが好きって言った方が正しいのかもしれない。
「ねえ、グリーン。何か言って」
俺に言葉を期待しているような事、良く言うぜ。顔の輪郭をなぞっていた指を俺の口に入れる辺りとてもそうとは思えない。細い指が口内を動き回る。この指を噛みちぎってしまえば俺も間違いという名の泥から抜け出せるだろうか。無理だと思うがな。そんな事を考えているとレッドは指を抜いた。何とも言えない虚無感が押し寄せたが無視する。
「…俺ね、昔からグリーンの事好きだよ」
「ふーん?」
「そういう憎たらしいとこも、全部すき」
嬉しそうに笑ってレッドは言う。俺もおまえが好きだよ、なんて言ってやらない。レッドが本当に俺に、俺に依存するまでは。
「あいしてる、って言って。そうすれば俺、あきらめる」
ほら。ほーら。レッドはまだ俺に依存なんかしちゃいないんだ。駄目だ、だめだ駄目だめ駄目だめ駄目駄目だめ!あいしてるなんて言ってやらない。まだ逃がさない。おまえは俺だけのものでいてくれればそれでいい。はやく言えよ。自分にはグリーンが必要だよ、って。暴力的な衝動しか生まれてこない俺の愛って本当に歪んでる。なあレッド。おまえだったら分かってくれるよな?俺にはおまえが必要なんだ。おまえだったら俺の歪んだこの気持ちだって受け入れてくれるよな。だって俺たち昔から、そして今も想いあってんだろ?言ってくれよ。おまえがその言葉を言わない限りさ、俺、
「おまえなんて大嫌いだよ」
嘘吐いておまえを悲しませることしか出来ねーんだよ!
(心が悲鳴をあげた)
▼すれちがい。一方的依存。そして二人とも偽物。