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一言で表現するならば、酒臭い。だと思う。いや、実際酒臭い。俺じゃなくて、グリーンが。ほんの出来心でグリーンにカクテルをジュースだと言って騙し、飲ませたのが間違いだったのかもしれない。だって色、オレンジジュースみたいだったし。味とかそれっぽかったし。(一口だけ飲んだっていうのはグリーンには内緒だ)媚薬とか入れてないだけマシだと思って欲しい。俺だってそういう事は結構好きで自分から誘ったりなんかしているわけだけど、その方法に問題があるわけで、要するに何て言うんだろう。…焦らされるとかそういう事されるというか何というか。そんな事ばかりするから俺に酒を飲まされたって言いたい。話が脱線したけど、要するに悪いのはグリーンであって、俺は今までされてきた事を返しただけ。

「レッドー、もう一杯」
「……ない」
「なんだよー、ないのかよー」

何で今までされてきた事を返しただけなのに俺が苦労しなきゃいけないんだとか色々言いたい事はある。けど、実際苦労してきたのはグリーンかもなあ、なんて考えると申し訳ない気がしないでもない。未成年が酒飲んじゃ駄目、だなんて法は無視する。

「へへー。レッドって暖かいよなあ」
「…あつくるしい」

いいじゃん、と何がいいのか分からない事をグリーンは言い、回している腕に力を込めた。痛い酒臭い暑苦しい。それでも自分も腕を回してしまうのには呆れを通り越して嫌気がさす。何だかんだ言ってもグリーンは優しいし、(たまにお節介なとこもあるけど)いいやつ、って言っても過言ではない。俺もグリーンを見習って腕に力を込めてみたところ、酔っているグリーンはおまえ、可愛い。だとかほざきやがった。その腹立つくらい無駄に整った顔を殴ってやろうか。

「俺さあ、おまえの事好きだよ」
「……知ってる」
「うん。ありがとな」
「…俺も、ありがと」

これ何ていう告白大会だとは思ったけどたまにはこういう事言うのもいいか、なんて無理矢理納得して恥ずかしさとかそういうのには気付かない振りをした。グリーンが酔っている時じゃないと恥ずかしくて言えない。だからグリーンがいつも言う愛してる、って言葉を言ってみると、グリーンは嬉しそうに笑って俺も、と言った。

それでまあ、実際のところグリーンは酔った振りをしていただけだっていう事に俺が後で本人から聞かされて赤い頬からパチパチと電気を出しているピカチュウにボルテッカーを命じるまでそんなに時間はかからなかったわけだ。それでも愛してるって言葉は嘘じゃないよ、と言ってあげると世界で一番幸せそうな顔で笑ってくれた。

(それがで良かった)


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