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「ずっと傍にいるからね」の続き。


最低な目覚めだ。それはグリーンのせいではなくて、グリーンの携帯にかけてきた女のせい。グリーンの結婚相手。別名勘違い女。ばーか。グリーンは俺のだよ。グリーンは俺だけしか愛せないっておまえと結婚する前に言ってたんだ。可哀想にね。お互い好きで結婚してないって事に気付いてないのはおまえとその親だけだ。とまあ、話が脱線したけど、俺の目覚めが最低だった理由は低血圧に加えてその勘違い女とグリーンが電話しているからだ。朝っぱらから忙しいね。声、こっちまで聞こえてるんだけど。ぎゃんぎゃん煩い。

「だーかーらー!仕事関係で飲んでたって言ってるだろ」
「………」
「俺も飲みすぎちゃって寝ちゃったんだよ。何だよ、信用してねーのかよ」

あ、女の声が聞こえなくなった。グリーンも酷いなあ。信用とかそういう前に俺とこういう関係続けてるのに。それ以前の問題ってやつだよ。嘘を吐いてでも俺と一緒にいてくれてるっていう事実が嬉しくて勘違い女に感づかれないように抱きついた。背中、広い。少し驚いたらしいグリーンは苦笑いをしてソフトキス。音はたてない。

「あ?はいはい。帰ったら何でもしてやるよ」
「…………」
「帰り遅くなるけど電話してくんなよ。今日の仕事は大事だから」

言うだけ言って一方的に電話をきったグリーンはしつこいんだよあいつ、と文句を言った。勘違い女関係の話はいくら悪口でも聞きたくない。だから俺は柄にもなくもう一回、とキスをせがんだ。悪い人みたいにグリーンは笑って口付ける。

「…かわいそうに」
「そんな事思ってないくせによく言うよな、おまえ」
「仕事、いいの?」
「今日は休み。おまえにその休みを使ってやろうと思って」

呟くように有り難うと言うと、気にすんな、と言って頭を撫でられた。愛されるって思う。腕に力を込めるとグリーンはもう一回寝ようと俺の意見も聞かずに俺を抱え込んで横たわる。暖かい。昔から変わらない暖かさだ。それに安心してグリーンの肩に顔を埋めると、今日は随分積極的だなー、なんて言った。聞こえないふりをして眠りに落ちる事にする。今日一日が結婚する前みたいに俺のグリーンでいるのなら何時間か寝たって問題ない。色々するのは寝てからでいい。ゆっくり寝るの、久し振りな気がする。

「おやすみ、レッド」
「…おやすみ」

グリーンの手が優しく俺の頭を撫でるから、目を閉じて眠りにつくまでそんなに時間はかからなかった。

(大事なのは気持ちです)


▼これがスランプってやつですか。ひいい…!


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