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帰ろう。嫌だ。ここにいたって何の意味もないだろ。帰らない。何回この言葉を繰り返しただろう。俺が会いに行く度にレッドは徐々に痩せ細っていくのを俺は見てらんなくて帰ろう、と言った。そういう事に関しては頑固だっていうのは一番俺が分かっている事なんだけどやっぱり言わずにはいられなかったんだよな。案の定レッドは首を小さく横に振って拒否した。分かってて言ったんだけど拒否されるっていうのは意外にも俺にはショックが大きかったらしくて、(要するに自分が拒否されたと思ったわけだ)ジムリーダーの仕事をいつも以上にやりたくなくなった。それでもレッドのところに行くのは欠かさなかったけどな。

いつだったかな。帰ろう、といつものように俺は言った。だから今日も嫌だ、と言われるのだと思っていたらレッドは違う言葉を発した。俺を倒す人が来るまでは絶対にシロガネ山からは離れない、と。それで俺はこいつもこいつなりに考えてるんだなあって思ってそれからは帰ろうとは言っていない。勝つ事だけに縛り付けられたこいつは解放してもらいたいんだよな。だけど解放するのは俺の役目じゃない。俺はこいつを解放させる事は出来ない。唯一俺が出来る事と言えば、負けて帰って来たこいつを笑って迎える事だけ。それしか出来ないんだけど、それでもしレッドが少しでも楽になるのならやってやるよ。忘れんなよ。おまえの帰ってくる場所は俺の居る場所だ。笑って迎えてやるよ。ちょっと憎まれ口を叩くかもしれないがそこはいつもの通りに流してくれよな。望むんだったら俺とのバトル付きだ。どうせ俺が負けるんだろうけど、バトルが終わったら言ってやるよ。おかえり。

(いつでもえてあげよう)


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