白いスカートの女の子が海に流した小さなビンは、遠く離れた所へと流れ着き、青い帽子の男の子が拾い上げました。
小さなビンの中の手紙には
幼い字で、
『だいすきです』
伝える事の出来ない募る思いを一言に込め、さらには小さなビンに詰め、
海へと流したのでした。
拾い上げた男の子は恋をしました。その一言に、恋をしました。
いつしか時は過ぎ、女の子の記憶から小さなビンは消え、男の子の記憶は甘い一つの苺へと変わりました。
そして、一瞬の淡い淡い其の恋を、男の子はパクリと食べてしまいました。
其の日から、男の子は夢を見ました。
白いスカ-トの女の子が、海に小ビンを投げ入れる夢。
食べた苺が男の子の一部になり、淡い淡い気持ちを毎晩と言っていい程、思い出させるのでした。
男の子の名前は『BlueSea』。
皆彼を『Sea』海と呼びました。
男の子は青年になりました。
優しく背の高い、笑顔が似合う、素敵な青年になりました。
唯、今でも白いスカ-トの女の子の夢を時々見るのでした。