家族です |
一度荷物を取りに帰った安田くんが戻ってくる前に婆やと夕食作りすることにした。 ちなみに婆やに安田くんを紹介すると最初は驚いていたけれどどうやら安田くんを気に入ったらしい。あんなに楽しそうな顔をした婆やは久々に見たなぁ。思い出し笑いしている私はきっと気持ち悪いだろう。 ピンポーン 「安田くんかな?」 「ふふ、鍋は私が見てるから名前ちゃんが行ってあげなさいな」 「わかった、婆やありがとう」 ぱたぱた走って玄関へと向かう。がちゃんと鍵を開けてドアを押すとやっぱり安田くんだった。 にっこり笑って「おかえりなさい!」と声をかけても安田くんは呆然としたままで私は首を傾げる。 何でだろう…エプロンつけてるけどおかしくないよね…?安田くんの目の前で手を振るとハッと気付いたように私を見た。 「た、ただいま!」 「ご飯もうすぐできるから待っててね」 「へえ、あんたたち新婚みたいね」 安田くんの向こう側を覗くとお母さんも帰ってきていた。 海外に行く前日だから早く帰ってこれたのかな。 「お母さんもおかえりなさい!」 「おっ…お母様ああああ!?」 「ただいま名前。こんにちは少年」 私と安田くんの頭を撫でたお母さんは満足そうに笑っていた。 うん、安田くんでよかったかも。 「ふーん、なるほどね。安田くんだっけ?」 「はいっ!」 「2週間住んでもらえるのはありがたいんだけど、お家の方は大丈夫なの?」 「平気ッス!」 「ならよかった。で、うちの娘とはどんな関係?」 「え!?」 「恋人に決まっておるだろう、ねぇ名前ちゃん」 食後に4人でお茶を飲みながら話しているとお母さんと婆やが安田くんをからかいだした。ニヤニヤしてる2人にびくびくしてる1人。そんな3人を見ながら私は苦笑い。 「ペットと主人だよ」 「ちょっ名字…!」 「……予想外の関係だったわ。安田くんがペットねぇ」 「名前ちゃん、躾はきちんとしなさいね」 「はぁーい」 「ええっ!?名字!?」 お母さんたちの気持ちわかる気がするよ…安田くんっていちいち反応してくれるもんね、いじりがいありそうだし…!でも名字家恐怖症になられちゃ困るのでこの辺にしておこう。私は。 「ねぇ安田くーん、うちはみんな名字だから名前じゃないとわからないわ」 「あ、言われてみれば…」 「名前でいいよ、安田くん」 「…おう!」 一緒に住むってことはもう家族だもんね! 嬉しくて顔が緩んだ。 「ペットなら部屋一緒でも問題ないわよね?」 「おばさん!?」 |