曖昧な関係

「それって、付き合うってこと?」
「…わかんない」
「安田って名前のこと好きだったの?」
「…違うんじゃない?」
「じゃあ何で自分をプレゼントなんて馬鹿なこと言ったの?」
「…馬鹿だから」


先日の出来事に本好くんは呆れたような顔をしていて、私はつい苦笑いした。

私はヤツが好きだ。でもヤツはどうかわからない。プレゼントだなんて言っていたけど、まだ幼なじみのままだと思う。だってイイヤツだから。
それでも以前よりは進歩している。私のことを意識してくれてるみたいで、あんまり目合わなくなったし。たまに顔赤いし。バレバレでなんかくすぐったい。
嬉しいけど、やっぱりはっきりしてないのは少し困るっていうか。悩むっていうか。


「じれったいね」
「…期待してもいいのかな」
「本人に聞けば?」


本好くんが指差した方向を見ると、席に座っている安田と目が合う。あ、逸らした。


「さっきから視線が痛いんだよね」
「…あはは」


なんてわかりやすいヤツなんだろう。
その視線の意味が嫉妬なら、嬉しいんだけど、な。

小さくため息をつけば、机の上に置いていた私の手に、本好くんは自分の手を重ねた。
…何事?


「どうしたの?なんか変なものでも食べた?」
「ううん。安田がどんな反応するのかと思って」


試してるんだ、とサラッと言われた。
えええ…そんな、手を重ねたぐらいで動揺するかなぁ…

ていうかこの人、


「あ、安田ビックリしてる。変な顔」


安田で遊んでるんじゃないだろうか。


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