幼なじみと私

「なんだかなぁ…」
「気にいらないね…安田が」


何かあっては本好くん本好くんと言ってた私だけど、今回本好くんに伝えるのはいつもの失敗談ではなかった。美っちゃんも加えた4人で、安田と共に報告している。その…交際報告っていうか…うん。


「名前が嬉しそうだからいいけどよ、相手が安田ってのがなぁ…」
「俺たちの名前を独り占めするなんておこがましいよね」
「いつ名前がお前らのになったんだよ!?俺のです!!」
「そんな雑誌読みながらよく言うぜ…」


ぺらっとページを捲って真剣にそれを見る安田に美っちゃんはため息をついた。

本好くんも美っちゃんも当然私の気持ちは知っているけれど、改まって伝えるというのはすごくすっごく恥ずかしかった。でも言わない訳にはいかないよね、と決意した時、私の隣では安田がのん気にグラビア雑誌を読んでいた。慣れたけど…慣れたけどさぁ…それってどうなの!


「バカかお前、名前がグラビアアイドルに嫉妬するほど乙女だと思うか?」


誰かコイツ殴っていいよ。


「名前、今からでも遅くねえ。安田なんかやめて俺にしねーか!」
「絶対美っちゃんの方がカッコいいよ。俺でもいいし」


ね?と本好くんと美っちゃんにじっと見つめられてしまって、私は笑うしかなかった。
そりゃ美っちゃんの方が懐広いし、本好くんの方が頭いいし、カッコいい。
でも何だろうなぁ。どうしても安田が、ううん…安田じゃないとダメって思うんだよね。

つまりゾッコンなんです。……言えないけど。


「お前らなぁ…!名前は俺の彼女なの!俺と結婚するの!子供は2人がいいです!!」
「え、それは…」
「ほら名前嫌がってるじゃん」
「つーか気早すぎだろ」


呆れた声の美っちゃんに同意するように頷く。
結婚って…!子供って…!嬉しいけど早いっていうか…安田は私でいいのかな。チラッと見ると安田とバチッと視線が合った。


「…ダメですか、名前さん」


少し照れくさそうな、でも真剣な表情の安田にどきん、と胸が高鳴る。

エロリストのくせに。
アイドルオタクのくせに。
モテないくせに。


カッコいい顔しやがって。


安田の悪いところはいっぱい知ってる。
でもそれ以上に良いところもいっぱい知ってる。
私にとって安田は1番だから。
だから離れられない。

だから、


「子供は3人がいいなぁ」


ずっと一緒にいようね、幼なじみさん?


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テーマ「人外ファンタジー」
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