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今日はずいぶんと混み合っていて、店内は慌ただしい様子。
四人掛けのソファ席をゲットできたのはホントに偶然だったんだけど……こうも忙しいと邪魔だろうな。

いつものようにノートパソコンを持っていたけれど、今日のところは諦めて違う店を当たってみよう。家じゃレポートに集中できないんだよね…ハァ。

ちなみに今日オーダーしたのは山菜そば。
こじんまりとしたレストランにあるものとは思えないメニューだ。気になっていたので食べられてよかった!お味もとっても良かった。

料理はすべて新マスターが作っていらっしゃるらしく、新マスターをお嫁にもらえる方はさぞ幸せな結婚生活になるだろう。
私も早く結婚したいな……相手いませんけどね!


「すまない、相席してもいいだろうか?」
「あ、どうぞ」


落ち着いた声が降ってきて、とっさにOKを出してしまった。
顔を上げればメガネをかけた男性がこちらの様子を窺っていたので慌てて向かいを差した。テーブルに置かれたお皿やナプキンを近くに寄せ集めてスペースを作る。


「ありがとう。助かった」
「いえいえ、もうすぐ食べ終わるのでこの席お使いください」


改めて山菜そばをすすっていく。ぶっちゃけ味が分からない。
喉を詰まらせないように、且つ迅速に、まるで下されたミッションのようにそばを食べるのは人生初めてだ。しかし早く食べ終わりたい!でも必死にそばすすってるとこ見られたくない!

だ、だって相席した男性、大人っぽくてめちゃくちゃカッコいいんだもの……!

私ってばなんでイケメンの前でそばすすってんだろう?わけわかんないね?
ギブミー女子力。


「……美味いか?」
「ふぇ、」
「君が食べているおそば。山菜そばかな」


ギャッッ…!!

話しかけられた、しかもそばすすってるからふぇ、ふぇって……ぶりっこか!ぶりっこはそばすすんねーよバカバカ!

好きな人じゃなくても、イケメンには緊張してしまうのは仕方ないことだと思うの。みんなきれいな人は好きでしょう……私もね、好きですよ、笑顔とかね、一種の攻撃だと思いますね。こう、胸に刺さる感じの。ハートに矢が射られる感じの。


「俺もそれにしてもいいか?」
「はい…どうぞ…!」


口元緩ませないでイケメンーーーーー!!





**********





「お味どうですか…?」
「うん、美味い」
「ですよね!お口にあってよかったです」
「……なんだかこうしているとデートみたいだな」
「えっ…!?」
「すまない、気分を害しただろうか。本音なんだが、」


もう黙ってイケメンーーーーー!!


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