第一印象ってすごく大事です



*この作品は作者様宅夢長編と拙宅夢長編のコラボ作品です。
苦手だという方は閲覧をお控え下さいませ。

作者様、読者様、それぞれ不快な思いをされる方がないよう注意を挟ませて頂きました。
ご了承下さい。















私は名前。国際警察捜査官だ。

この度、私が所属するシンオウ支部にイッシュ支部からの応援要請がかかった。
そこで指命されたのが、私。

まだまだ小娘といえる年齢の私を抜擢してくれたハンサムさんやイッシュ支部の上官の期待を裏切らないためにも、今回の任務、成功させてみせる。

任務にはいつだって真面目に取り組むけど、今回は気合いの入れようも違うってものです。


「プラズマ団、か…」


今回の任務、それはこのイッシュ地方で不穏な動きを見せているカルト集団『プラズマ団』なる団体の摘発、あわよくばトップの逮捕。

ライモンシティに到着した私は、街の中をゆっくり歩きながら考えていた。

イッシュ支部から、プラズマ団の情報はごく僅かしかもらっていない。相手がどんな風貌をしているかとか、どんな活動をしているかとか、それを知ることによって、こちらの動きも違ってくる。


「いったい、どんな構成員から成っているんでしょう…」


もしも強硬派だったとしたならば、こちらも素早い対処が必要になってくる。こんな大きな街でテロでもおこされたら、その被害は計り知れない。
そう、例えば、


「いっ、いやあああああ!!!」
「お待ちくださいましっ!姫様ああああ!!!」


例えば。
その構成員が、こんな真っ昼間っから鉄バッドを片手に奇声を上げながら女性を追いかけ回すような暴漢だったとしたならば、すぐにでも逮捕を…


「………」


逮、捕……を………


「え。えええええ!!?」


いっ、今!? 今目の前で何が!?

ばびゅん、目の前を駆け抜けていった風2つ。

ドップラー効果を伴いながら、既に点と化しているその2つを数秒ぼけっと見送ってしまってから、私はハッと我に返った。

婦女暴行の現行犯!事件発生です!
赴任後1時間で事件に巻き込まれるなんて、治安悪すぎですよライモンシティ!
あ!まさかあれが噂のプラズマ団なんじゃ…!そうです、普通に考えて昼間から人目も憚らず女性を武器を手に追いかけるなんて、悪の組織か変質者に決まってます!どちらにしても逮捕あるのみ!


「こうしちゃいられませんっ!――そこの男性っ、止まりなさーいっ!!」


かなり遅れて、私は被害者とプラズマ団(仮)のあとを追いかけ始めた。


「あなたたちっ!公道の両脇で野球しないっ、やりたいなら公園もしくはスタジアムに行きなさい!」


何故か道の両脇でハイテンション・ベースボールを繰り広げていた二人組にしっかりお説教をしてから。


「タッハー!怒られてしまったねぇアンソニー!」
「そうだネェ、トーマス!ソーダ!どうせならこのままキャッチボールしながら公園まで行こうじゃないか!」




その後。

ようやく追いつき、女性を背中に庇いながらプラズマ団(仮)の手首に手錠をかけ確保したとき。


「愛に障害はつきものでございます!!」


なんと至って真顔のまま、男は鉄製(…のはず)の手錠を引きちぎった。


「…え? あ、れ…? 手錠、壊れてた…? だって手錠って、鉄……、あれ、鉄って千切れるものだっけ…」

「千切れるわけないじゃないですかぁっ! いやあああああ!!!」
「わたくしの愛はこのような輪っかで繋ぎ止められるほど柔ではございません!ご安心くださいまし姫様っ、姫様あああ!!!」


そのあり得ない状況に固まった私の横を、男は陸上走り(前傾姿勢、手はまっすぐに指を揃えてパーってアレです)で駆け抜けた。

捜査官としてのプライドが軽く傷つけられた私がようやく復活できたのは、女性が恐怖にかられながらもツッコンでくれたおかげで。


「あ…っ!ま、待ちなさいプラズマ団!!」
「わたくしは姫様の運命の相手でございますっ!!」


ますます怪しい。
さすがカルト教団、言うことが違います。

手錠を引きちぎるような男に容赦する必要はない。とにかくあの女性を救出しなくては、何をされるかわかったものじゃありません!

女性を追いかけながらも器用に私に返事をした男を捕らえるため、私は腰のボールを解放した。


「全員、あの男を確保してくださいっ!この際どんなわざ使っちゃっても構いませんっ」


シキのマジカルリーフ、ジンの瓦割り、コハナの飛び蹴り、アヅマのスパーク、ココノエの火炎放射、オウガのドラゴンクロー、捜査官の手持ちとして鍛えられている私のポケモン達の攻撃を、軽々と男は避けていく。あるときは前方3回転捻り、あるときは180度開脚のいわゆるル〇ン飛び。
くっ、なんて無駄のない無駄な動き…!ときどき肩越しに寄越されるドヤ顔に、捜査官としてではなく個人的に絶対捕まえてやるという闘志が燃え上がる。要するに神経逆撫でされました。

悲鳴を上げる女性のことはだんだん頭の片隅に追いやられ、私と男の追いかけっこはヒートアップしていった。



第一印象ってすごく大事です



更にその後。

このプラズマ団(仮)が、私のイッシュ地方での上司だとわかったときは、捜査官人生で初めて全部投げ出しておうちに帰りたくなりました。
ああハンサムさん。私、こっちで上手くやっていけるでしょうか。





お姉ちゃんこと花影さんから50000HIT祝いに、花影さん宅▲▽夢長編「任務完了!」×拙宅▲夢長編「Don't call me "scrapprincess"!」のコラボ夢を頂きました!
鉄屑姫4話の追いかけっこに任務完了夢主ちゃんが参戦!

初コラボにお姉ちゃんの作りだしてくれた鉄屑クオリティに、ときめきが止まらない!
暴漢→変質者→プラズマ団員(仮)の勘違いコンボに腹筋がやられました。傍から見たら本当に勘違いされても仕方が無い!
任務完了夢主ちゃんのツッコミが冴えわたってます…!
手錠千切りも無駄にアクロバティックな回避も姫様を前にした王子様(笑)には朝飯前ですが、任務完了夢主ちゃんには最初から最後まで申し訳ないです^Д^

素敵な作品本当にありがとうございましたー!ヽ(*´∀`*)ノ

(12.3.4)





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