ほんとに怖いのはどちら?



あの日から数日が経ちました。
あの日ってなんだって?
もちろん!ノボリ様のお部屋に数日ぶりにお邪魔した日です。
あ、私は名前って言います、ギアステーションの前でカフェのバイトをしてます。
あの日倒れてしまった私は帰ってノボリ様のためにお菓子を作り、置いて行きました。
もちろん謝罪の手紙を付けてです。

でも、何も反応はなし。
これでも、店長には可愛いって言われますし、看板娘ってことで雑誌に載ったこともあるんですけどね?


あ、今日もご兄弟そろって出勤なさってます。
素敵ですね、形容する言葉がありません。
そういえば、あのお菓子食べてもらえたんでしょうか?
捨てられていたらどうしましょう。せっかくなので確認しに行きましょう。

「店長、これから休みます」
「名前ちゃん彼氏のところかい?ゆっくりしてきな」
そんな優しい店長さんに見送られて、私はノボリさんの部屋に行きました。

そういえば、彼とどうして出会ったのかを話していませんでしたね。
きっかけはたくさんの書類を持った彼がカフェにいらっしゃって、仕事をしていたのです。
私が注文の品を持っていくと、夢中だったのか気付かなかったようですが置いて戻った私が彼を見ると彼もちょうど私を見ていて微笑んでくださったのです。
あの微笑みを見た私は彼を運命の王子様だと思ったのです。
彼が来てくださったのはその一回だけでしたが、私は調べました。
そして彼の住んでいる場所へ向かうようになったのです。


話しているうちについていたようですね。試しにドアを回すと……あれ?
いつもは閉まってるはずなのに今日は開いています。
不用心ですね、不審な人物が入ったら大変なので閉めておきましょうか←


入った途端に広がる彼のにおい。ああ、私は今とても幸せです。
彼のにおいが充満していて、まるで彼に抱きしめられてるようです。
あ、服が出しっぱなしです、洗濯はまだしてないみたいなのでしちゃいましょう。
洗濯機を回して、他にはアイロンでしょうか?時々みるあのコートはアイロンがかかっていた方がきれいでしょうし。

いつも入ってるクローゼットからあのコートを抜く。
ああ、とてもいい匂いです。思わずぎゅっと抱きしめました。
……いけないいけない、こんなことしてる場合ではなかったのです。
そういえば、なにをしに来たんでしたっけ?
あ、お菓子を食べてもらえたかでした、ここはやはり本人に聞くのが一番ですよね。
コートのアイロンをかけ終わると、冷蔵庫を確認。こんなに少なくていつも何を食べているのでしょうか?
肉じゃがなら作れそうですね。下準備をしましょうか。

あとはこれを煮込んで完成。あ、洗濯が終わったようです、干しましょう。

洗濯物を干していると、チャイムが鳴りました。いったい誰でしょう?
ノボリさんでした。挨拶をしなければ。

「おかえりなさい」
「ただいま帰りました、なぜ……?」
少しだけ驚いた顔をしたもののすぐに戻ってしまいました。
「ドアが開いていました、なので閉めておきました」
「それは失礼いたしました、これからは気を付けます、そしてこのにおいは?」
「肉じゃがです。時間があったのでコートのアイロンがけをして、今は洗濯物を干していました」
こんな会話まるで新婚のようですね、とっても幸せです。
「それはそれはまことに申し訳ございません」
「いえいえ、こちらが勝手にやったことなので」
「でもなぜ本日ここへ?いつもは四日おき、それに先日来たばかりではありませんか?」
「……しん…こんさん……えっとなんでしたっけ?」
すっかり脳内に入り浸っていたので聞きそびれました。
「どうして貴女が本日来たかです」
「それは、昨日のお菓子の感想を聞きに…私が作ったので」
そういえば、いつも無表情、どうしてでしょう?男性はいつも顔を赤くするのに……。

「そうですね、おいしかったですよ。まるで店頭で売られている物のようでした」
そういえば、こんなにも会話ができているのに私はうれしくないのでしょう?
「そ、そうですか。肉じゃができたと思うので食べてください失礼します!」
なんだか怖くなって私は部屋を飛び出した。

途中で誰かにぶつかった。
「いたっ」
「すいません、急いでるんで!」




店につくと店長はまだいた。
そして私は店長に相談した。
「私好きな人と話すことができたのにうれしくないんです」
「どうして?」
「なんだか、不自然に感じて」
「じゃあ、どうしたら自然に、素敵に見えたの?」
「彼が男の人と並んでいたとき」
それを言った瞬間私はおかしいと感じてしまった。
でも、店長は優しい笑顔を見せたままだった。

「大丈夫よ、私もそういう考えがあるから。ちなみに相手は誰?」
というか、なんだかノリノリだった。
「サブウェイマスターの……」
「あの二人ね、たしかに双子はおいしいわ。貴女はどっちが攻めだと思う?」
「……??」
そこから、店長の講義が始まった。
ちなみに次の日は定休日だったので問題なしです。

そして、私は腐女子に目覚めたようです。
「ノボリさんはクダリさんにだけ感情むき出しだったりすればいいんです!」
「で、鬼畜ダリ登場するわけね」
「そうですよ、それっておいしくありません?」
「たしかに受けなノボリ君もいいけど鉄道員を攻めるのも私的にはありなのよねー」
「あ、店長二人が通りますよ」
私は少し前に乗り出す。店長は後ろのままです。

「「やっぱり王道はサブマスのリバですね(よね)」」


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途中でぶつかった人

「いたっ」
「すいません、急いでるので!」
危ないな、いったい誰だろう?
顔を上げるとそこには女の子、それもとってもかわいい。
たしか雑誌で特集組まれてたよね。
あっと言う間にいなくなっていたあの子。
今度ゆっくり話したいな。

そういえば、ノボリの部屋の洗濯物!
ノボリいつも貯めるからぼくがやらないと。

「ノボリー!」
「なんですかクダリ騒がしいですね」
「ど、どうして片付いてるの?それにとってもいい匂い!」
いつものノボリの部屋じゃないみたい。

「わたくしの部屋によく来るあの方がやってくれました。ちなみに肉じゃがです。一緒に食べますか?」
「うん!」
ストーカーとっても律儀、それに家庭的。



次の日の朝

ノボリと一緒に出発!
ノボリ時々寝坊するからぼく心配。
ちなみに昨日の肉じゃがとってもおいしかった!

もうすぐ到着ってところで左を向くとあの子と誰か。
なんだか二人とも楽しそう。
だからぼくも自然と笑顔になった。そしてノボリの腕に抱き着いた。



((これからは、あのカフェに毎日行こう!))
((これから仕事なんですから、しっかりしてくださいまし!))
((朝からクダノボとか超ラッキーです!))

それを微笑みながらみる店長。

((最初に来た彼ってクダリ君なのよねー……))







過去5000HIT企画より「色々気にしなさ過ぎるノボリさん」の淡白な▲と謙虚なストーカーちゃんのめくるめく恋物語(?)をゆうりさんが書いて下さいました!
私の拙い夢会話文から、こんなにたくさんの設定を妄s…想像して頂けたとは光栄です!´▽`//

まさかまさかの展開に驚かされたのと、ノボリさんの部屋の様子が自分のイメージまんまで笑いました(笑)

楽しい作品をありがとうございました!^^*

(11.10.18)





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