大丈夫、問題ない 
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ポケットモンスター、縮めてポケモン。
この星に生息する人ではない不思議な生き物たち。海に森に町に、その種類は100をとうに超えて、年々数を増やしている。否、人間たちがその知られざる全容へ一歩ずつ近づいて行っていると言った方がいいだろう。人よりも先に彼らが存在したという説もあるほどだ。私達が彼らの全てを知ることなど、到底無理な話なのかもしれない。

「キリキザン、さっきからどうしたの。あなたから伝えてくれなければわからないわ」

太い幹に背を預けて座りこむキリキザンは私の手持ちポケモンの内の一体である。彼との付き合いも程々に長いはずなのだが、元野生だからなのか中々意思疎通が上手く行かない。今も、きろりとこちらを一瞥し再び狸寝入りを決め込む彼が、何を考えて何をしてほしいのかがさっぱりわからないのだ。
常ならば彼から身振り手振りなどで伝えられる意思だが、こうもダンマリを決め込まれてはどうしようもない。
何か必要であれば向こうから言ってくるだろうと見切りをつけ、今日の夜営準備を始めるべく薪を拾いに藪の中へと入った。

ビシバシと当たる枝に一々痛がっていたあの頃が懐かしい。何かが暗闇に紛れて襲ってくるのではと怯えて、ずっと眠れなかった日々が脳裏によみがえる。

ああ、そういえば彼と出会ったのも、今日のような月明かりが細い夜だった。



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