「……何故だ。」




サッカー日誌





「あ、鬼道。」

「……。」

「秋!」

「……。」




──何故だ。

くるりと後ろを向くと、「ヒィッ!」と怯えたような声を出して逃げていく壁山達一年の背中を見て溜め息を吐いた。

みんなの様子がおかしいと感じたのは部活に来てからすぐ。何かしてしまったのかと記憶を辿ってみたけれど思い付くことがなかったのでとりあえずその場にいた豪炎寺に聞いてみたのだが、さっきの鬼道や秋と同様に華麗にスルーされてしまった(最初はエースだからって調子乗ってるんじゃねーよチューリップとか思ってた)。




「…これは、ヤバいな。」




ちょっと焦ってきた。一年や染岡、半田に無視されるならまだしも(多分最初にスルーしたのがコイツらだったらしばく)、秋達や円堂、響木さんにまで無視されるから泣きたくなってきた。なんだよ。嫌なことあるなら言ってくれればいいじゃんか。そんな、みんなして無視しなくったっていいじゃんか。




「朝倉。」

「……豪炎寺のばーか。」

「…あのな、いきなり馬鹿はないだろう?」




急に声をかけてきた豪炎寺になるべく小さく悪態をつくと、呆れたような顔をされてしまい余計に嫌われてしまったと自己嫌悪する。最悪だ。馬鹿は私だ。だけど何にもいってくれないみんなだって酷いんだ。今更謝られたって許さないからな。あ、怒らせてるのは私か(理由は分からないけど)。駄目だ、マジ泣きそう。泣くわホント。




「とりあえずこっちに、」

「…んだよ、」

「……?」

「なんだよぉ!言いたいことあるならちゃんと言えよ馬鹿ァァァァ!!」

「え…おい、ちょっ朝倉!?」




豪炎寺がすげー慌ててるけどなんかもうどうでもいいや。私の泣き声(というか叫び声)を聞きつけたのか、今の今までどこかに行っていたサッカー部の面々が集まってきた。




「え、泉ちゃん!?」




私の顔を見て一番最初に駆け寄ってきたのは秋。普段私が泣くことがないからか、しばらくワタワタとしてからギッと豪炎寺を睨んだ。




「豪炎寺くん!一体泉ちゃんに何して泣かせたの!!」




いや、貴方も原因の一つですよ秋さん。そうこうしている内にみんなが豪炎寺を責め始めたので、思わず泣くのも忘れてポカーンと口を開けてその光景を見ていた。あれ?この人達って私のこと怒ってたんじゃないの?集団で無視するくらいに私を嫌ってたんじゃないの?みんなの考えていることがさっぱり分からない。とりあえず責められすぎて泣きそうな顔になってきた豪炎寺が可哀想なので助けることにした。




「あの、みんな私に怒ってるんじゃ…?」

「怒る?なんで俺達が朝倉を怒るんだ?」

「ち、違うのか!?」




キョトンと、真底分からないというように首を傾げる円堂の言葉に、私は声を上げた。え、………勘違い?マジか勘違いかそうなのか。え?怒ってない?え?じゃあなんでみんな無視してたの?まさかの遊びでしたとか出来心とかそういう系だったりするのか。え、やだ。そっちの方が泣きそうなんだけど。




「……お前、本当に自分に関しては鈍いな。」




鬼道がゴーグル越しなのにあまりにも分かりやすい哀れみの目で見てくるので、あははと笑って誤魔化す。どうしよう、何が言いたいのか全っ然理解出来ねーや。




「誕生日だろうが。」

「…………どちら様の?」

「お前の、だ。」




お前の?おまえの、オマエノ…お前……え?




「私!?」

「いや気付くの遅いから!!」




ふふふ、残念だったな半田!これはボケでも何でもなく、ただ本当に分からな「馬鹿なだけだろう?」すいません仰る通りです。謝るんで足踏むのやめて下さい鬼道様。




「でも、なんで誕生日だからって無視なんかしたんだよ?」

「そんなの決まってるじゃないですか!!」

「いや先輩分かんないよ春菜。ちゃんと説明してくれよ頼むから。」

「だーかーらー、」





サプライズパーティーです!!ニコッと笑った春菜の言葉と共に、複数のパンッという音が聞こえた。







「ハッピーバースデー!!」








次は誰の誕生日だっただろう。喜んでもらえそうなプレゼントを早いうちに考えておかなければ。でも今は、みんなのくれた最高の誕生日を楽しもうと思う。














Happy Birthday!!


(大切な君に)

(生まれてくれてありがとう)






※8月11日は泉の誕生日でェェェェす!!若干文章が銀魂化してるけど気にしない。


※何はともあれ、happybirthday!!ママ(笑)は泉を愛してる!


※親バカ?ほめ言葉だろ、それ。













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