「さぁ来い沖田総悟ォォォォォ!!」
侍ガール!
あぁ、どうしてこうなるんだ。
数分前、虫かごを片手に屯所に押し掛けてきた咲夜くんは真っ先に縁側でお昼寝をしていた沖田隊長を叩き起こすと、虫かごの中からそれは立派なミヤマクワガタを取り出して、サド丸との勝負を申し込んできた。それにしても彼は何故こうもタイミング良く私が非番の日に現れるのか。嫌いではないのだが、真選組には少ない貴重な休日くらいゆっくり過ごしたいものだ。まあ、そうでなくても毎回なんだかんだで沖田隊長に振り回されて終わるのだが。
「俺と宮間(ミヤマ)さんのチームプレーを見るがいい!!」
そうして始まった咲夜くんの宮間さん(ミヤマクワガタ)VS沖田隊長のサド丸(もはや地球外生命体としか言えないくらいデカいカブトムシ)の対決。正直、宮間さんが可哀想だ。
「行け宮間さん!お前のスーパーウルトラグレートハイパーデラックスローリングファイヤースノーバサミを見せてやれ!!!!」
長いわァァァァァァ!!ファイヤースノーって熱いのか冷たいのかよくわからないよおいィィィィィィ!!しかも結局はただ挟むだけか!!ちょっと期待したじゃん!ちょっと恥ずかしいじゃん!
咲夜くんの声で動き始めた宮間さんは、自分の100倍は軽くあるであろうサド丸に向かってハサミを向けた。……なんて無謀な。
「やれィ、サド丸。」
沖田隊長の命令でサド丸は構えの大勢に入り、そこから勢いよく角を振り上げた。
「み、宮間さァァァァァァん!!!!」
サド丸によって弾き飛ばされた宮間さんは近くの壁にガツンとぶつかって落下。そのままピクリとも動かなくなってしまった。
「うぅ…宮間さん、お前の勇姿は忘れないっ!」
「へっ!おととい来やがれィ。」
やめてくれ、慰めるのは誰だと思ってやがるんだコノヤロー。
可哀想な……。
(手加減してあげて下さいよ…。)
(アイツが弱すぎるだけでさァ。俺は悪くねぇ。)
(………………。)
※ミヤマクワガタなので宮間さんです。
※ちなみに宮間さんはミヤマさんではなくミヤマサンです。ちゃんと「さん」も名前に入ってます。