ふわふわり。
「中忍試験、合格おめでとう。」
不意に聞こえた声に振り返れば、色とりどりの花が視界を埋め尽くした。「なにこれ。」「ん、お祝い。」ニコリと笑うミナトから花束を受け取る。さて、これは一体どこに飾ろうか。私の家はせまいのだからお祝いをくれるならもう少し小さいものがよかった。ミナトには申し訳ないが、小さい花やすぐに悪くなってしまいそうな花は取り除くことにしよう。
「酷いなあ。せっかくのプレゼントを、」
「わざとでしょ?ウチにこんなの飾れないって知ってるくせに。」
相変わらずよく分からない人だ。優しいのかと思ったら意地悪だし、しょっちゅう仕事の邪魔をする。
「あんまり出歩いてないで仕事しなよ。火影でしょう?」
溜め息をつきながら言ってやれば、困ったような顔をして、何も言わずに頭を撫でてくるものだから私の方が困ってしまう。なんだ、何がしたいんだこの人は。頭撫でたいだけならカカシくんでも撫でてればいいのに。
「んー、鈍いななまえ。」
「はあ?」
「まあ、長期戦になるのは予想出来てたけどね。」
鈍い。長期戦。その意味が分からないほど自分は子供ではないつもりなのだけれど。でもきっとこの人のことだから確信犯なんだろうなあ、なんて。きっと私に好きって言わせる気なんだ。最低。男として最低。カカシくんに言って2人で里中に言いふらしてやろう。
「……私の気持ちなんか分かってるくせに。」
「ん?何か言った?」
「なーんも言ってませーん。」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべたミナトから逃げるように走り出す。抱えている花束は、貰った時より随分と軽くなっていた。「え、ちょっ…花ほとんど残ってないよ。」そんなこと知るか。
ふわふわり。
(好きだよ)
(今はまだ、言ってあげない)
※遅くなりました!ミナトって言われたのにミナトじゃない気がするけど気にしないで。
※相互ありがとうございました!これからもよろしくお願いしまーす!