必死な横顔







「ロボット刑事課の諸君、メリークリスマス!!」





どーん、という効果音がピッタリな登場をしたのはクラッカーを片手にド派手なサンタクロースに扮した冴島と、どこか遠い目をしたトナカイの東だった。クリスマスというイベント自体が初めてなブレイブポリス達と、沢山のプレゼントに釣られた勇太は嬉しそうにはしゃいでいる。なまえはデスクの上に置かれたカレンダーを見て溜め息をついた。





「総監、今日は11月24日です。」





クリスマスには早すぎます。クラッカーから飛び出した色とりどりのテープや紙を拾いながらカレンダーを冴島に差し出す。横から復活したらしい東が「だから言ったでしょう!?」と声をあげた(なんだかんだでトナカイのコスプレは脱がないのか)。確かに最近街の色々な場所でクリスマスのイルミネーションを見かけるようにはなったが、これではあまりにも早すぎる。まだ小学生である勇太や、クリスマスを生まれて初めて経験するブレイブポリス達が浮かれて仕事が出来なくなっては困るのだ。背後で残念そうにしている彼らには申し訳ないが、出来れば今月中に終わらせたい仕事が沢山ある。我慢してもらわねば。





「しかし…クリスマスの日はみんなそれぞれ予定が入っているからな。パーティーが出来ないんだ。」

「仕事が終わらなきゃ総監も困るのではないですか?」

「うーん、」





本当に、子供のような人だ。トナカイの東が隣でイライラしているのがよく分かる。何がなんだか分かっていない様子のドリルボーイは、勇太にクリスマスとは何かと尋ねていた。





「クリスマスが何かはよく分かんねーけどよ、偶には休みも欲しいよな。」

「パワージョーはいつも休んでるでしょう。」





すっぱり一刀両断されていじけるパワージョーをダンプソンとデッカードが慰める。勇太も不満げに頬を膨らませ、ドリルボーイと小さくブーイング(すぐになまえの拳骨が落とされたが)。デュークはデュークでレジーナと初めてのクリスマスを過ごしたいと言い出し、シャドウ丸に至っては我関せずと昼寝を始めた。仕事が終わらないというなまえの言葉に同意を示しているのは堅物マクレーンだけである。





「先月だって総監が思い付きで運動会なんか開くから仕事が終わらなくなったでしょう?」





そうやって振り回されるのはいつも自分。締め切りに間に合わなくなった大量の仕事を片付けるこちらの身にもなってほしいものだ。なまえはデスクに戻ると、冷めてしまっているコーヒーを一口飲んでまた溜め息をつく。入り口付近では未だにクリスマスをやり隊(主にドリルボーイとパワージョーのサボリ魔)が騒いでいた。仕方なくパソコンを開いて仕事に取り掛かる。





「アンタもたまには休まねえと倒れちまいやすぜ?」





不意に声がして振り返ると、先ほどまで部屋の隅で昼寝をしていた筈のシャドウ丸がジッとこちらを見ていた。





「私は貴方みたいに昼寝をしている暇はないの。」





キッと睨んでまたパソコンに向かうなまえに、シャドウ丸は苦笑する。真面目な司令官である。本当は誰よりも楽しいことが好きで、クリスマスだって入り口付近の彼らに混じりたいはずなのに。けれどやはり集中できていないのか、チラチラとパソコンから目を離しては文字を打ち間違えている。





「素直になったらどうですかい?」





びくりと肩を震わせ、耳まで真っ赤になったなまえを見て、シャドウ丸は密かに頬を緩ませた。














必死な横顔


(可愛いねぇ…。)

(シャドウ丸!ぶつぶつ言ってないで手伝って!!)

(はいよ。)







※ALL?に、なってるのかなこれ。

※ジョイス様、大変遅くなりました!こんなものでよければ貰って下さい!!






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